2014年7月18日金曜日

”WICKED” その4 トリ

終業式である。今年も、インターハイ出場選手の壮行会が野球部の3年生によって行われた。本来なら彼らも甲子園への道をひたすら走っている筈だと思うと、エールが少し悲しげに聞こえた。ともあれ、明日から夏季休業である。

本校では、進路決定を控えた3年生にとっては、評定(5段階の各教科の評価を総平均した数値)が、大学等の指定校推薦や就職の有利・不利に大きく影響するので、どうしても通知表のそこに目が行く。頑張った生徒は、評定平均が1・2年の平均値よりアップするのである。通知表を渡すと悲喜こもごもである。

通知表も渡し終えて、いつものように「姿勢を正して聞いてくれ。」という決まり文句を私が発すると、一気に静まり、注目してくれる。我が4組は、何よりここが凄いと思っている。一呼吸ついて、あらかじめこれだけは言っておきたいということを述べた。

「夏季休業前に、いくつか言っておくなあ。1・2年で担任した生徒にとっては何度も聞いているコトバだと思うが、イベントは、サバイバルゲームである。責任感のある者が生き残る。全員がそうあって欲しい。先ほどの大掃除(油引きもあったので机を出し入れしたり、いつも以上に大変なのだ。)では、たいした指示もしていないのに見事にやってくれた。文句のつけようがない。ホント嬉しい。4組の全員が、(団活動で)たいへんだろうが、やってくれると信じている。よろしく頼む。但し、自分の進路のことは必ず優先するように。オープンキャンパスや模試、もちろん補習や受験勉強も優先とする。自分にとって今、何をしなければならないか、常に自己責任で考え、行動するように。人間は不平等なものだ。私はA(君)のようにバスケットは上手くない。H(君)のようにダンスが上手くない。(笑)だが、平等なものがひとつある。それは時間だ。時間だけは平等だ。その平等な時間をどう使うかが大事だ。みんなには、その時の風任せで飛ぶグライダーではなく、自分の意志で飛ぶプロペラ機であって欲しい。」

放課後、舞台チーフ会議があった。そこで出演順の抽選が行われた。なんと、我が4組はトリをとることになった。舞台チーフでシナリオライターでもあるS君は、ニコニコして「トリを取れました。」と7割方完成しているシナリオを見せながら報告してくれた。私自身は最後までドキドキするのかあ…と思ったが、S君のあまりの喜びように、彼らの自信を感じ取った。我がクラスの生徒に、「トリだぞう。」と言うと、大喜びする者が多かった。和して勝つ。勝ちて和す。1学期をかけて、十分私のクラスが出来上がった実感を得たのだった。よし、全力で”WICKED”を支えようではないか。体調を考えると最後の担任になる可能性が高い。

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