2013年4月27日土曜日

受胎告知図とスーパーマン

典型的な受胎告知図
昨日モーニングで、日経の文化面(最終面)を読んでいて、面白い蘊蓄を手に入れた。今日はそのことを書こうと思う。作家の中野京子さんの「注文の多い宗教画」である。タイトルの受胎告知というのは、聖マリアに神の子が受胎したことを知らせる天使ガブリエルの姿を描いたシーンである。昨夏イスラエルに行った際、ナザレにも行き、受胎告知教会(建物自体は新しい。この教会のすく近くの場所に受胎告知があったといわれる洞窟のようなところがある。)にも足を運んだ。

さて、この受胎告知図は、時代が下がるにつれ約束事が決まっていく。マリアは赤い衣で、青いマント姿である。犠牲の血(赤)と天の真実(青)を示す。天使が来る直前まで聖書を読んでいたので、聖書が描かれ、天使ガブリエルは猛禽類の翼であること、処女性の証として白百合を天使が差し出す。天井からは聖霊を示す白いハトの姿。

このマリアの赤い衣(犠牲)と青のマント(天の真実)を逆に着ているのがスーパーマンというわけだ。私は、思わず膝を打ってしまった。スーパーマンも選ばれし犠牲の英雄である。こういう蘊蓄、実に楽しい。

ところで中野京子さんの記事では、シモーネ・マルティーニの受胎告知図について解説していた。このシエナ大聖堂の壁画では、天使が白百合ではなくオリーブを差し出しているのだ。(白百合は外せないので花瓶にさしている。)当時、シエナの町が敵対していたフィレンツェの紋章が白百合だったかららしい。…なるほど。宗教画とはいえ俗世にはいろいろあるわけだ。

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