2013年4月6日土曜日

香港人・台湾人=日本人?

毎日新聞の朝刊に「みんぱく 公開講演会のなんだ?日本の文化って-芸術からMANGAまで」の報告が載っていた。私が面白いと思ったのは、王向華(香港大学グローバル創造的産業プログラム主任)氏の講演「香港人/台湾人になることは日本人になること」である。要約された新聞記事であるが、さらに要約すると次のようになる。

外来文化の受容には大きく分けて二つの見方がある。同質化とクレオール(異種混交)化である。外国文化を自国文化に合わせて受容し、自国文化を強化するとの見方が後者である。香港では、1967年に共産主義と保守派が争い暴動に発展したので、総督府は香港人の脱政治化をはかる。「香港人は政治に興味がなく、金儲けが好き」というイデオロギーを作ったのである。この時香港市民に受け入れられたのが、欧米ほど遠くなく、漢字圏でありながら非中国でサービスや製品の質がいい日本だったのだ。「ヤオハンで買い物をすること=香港人」となったわけだ。一方、台湾では、戦前の日本文化同化政策があった。台湾人はこれに是々非々で臨んだ。日本語は近代化に必要なので学んだが、内面は日本人化しなかった。戦後国民党政権は日本の影響を排し、中国化したが、88年頃から始まる独立志向の高い李政権頃から、台湾文化の脱中国化が図られた。日本のポップスカルチャーなどが解禁され、中国本土より強く日本文化を受け入れることで「台湾は中国とは違う」となり「政治的に独立したい。」という意識がつくられた。

…なるほどと思う。香港も台湾も、対中国本土に対抗して、政治が主導した日本文化の受容だったわけだ。だが、私は一般の香港人も台湾人も、日本文化を対中国のためのツールだという意識で受容したのではないだろうと思う。日本のアメリカ文化受容も、戦後は大きな政治的な意味があったに違いない。しかし、結局のところ、いいものはいいのだ。外国文化の受容とはそういうものなのだろう。私たち(50歳代)はアメリカの漫画(ディズニーやトムとジェリーなど)やドラマ(奥様は魔女など)を見て育った。ジャズもアメリカン・ポップスも、いいものだから受け入れたのだと思うし、日本も、台湾が日本化しないのと同様、アメリカ化しなかったと思っている。

王氏も同様、自身の日本文化への讃歌で講演を締めくくっている。(笑)そう、いい文化は受容されるし、よくないものは淘汰されるわけだ。
http://mainichi.jp/feature/news/20130406ddn010040077000c.html

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