2012年7月26日木曜日

日本のガラパゴス現象を問う

久しぶりに、日経をモーニングで読んでいた。今日の経済教室は大阪工業大学の平松幸夫教授の「問われる国際標準化戦略」という話であった。日本市場がともすると欧米市場からかけ離れた特殊な進化をとげる現象を「ガラパゴス現象」というらしい。有名な例は、電気自動車の充電コネクターの話である。私もこの話題、何かのTVで見た。平松先生によると、欧米では、商品開発に当たって、第1ステップとして、まず「要求条件」を時間をかけて徹底して議論し、明確なものとする。第2ステップは、「基本構造」を設計する。いかに「要求条件」を満たすかが重要である。第3ステップは、詳細な実現のための「技術開発」、という三段階で行われているという。

第1ステップは『哲学者の頭』、第2ステップは、建築家のような『設計者の頭』、第3ステップは『科学者の頭』が必要なんだそうだ。ものすごく面白いと私は思った。日本は、第3ステップは、世界でも極めて優秀だそうだが、第1ステップ、第2ステップを踏まないでいきなり第3ステップから始めるらしい。だから、世界初の技術を開発するのは得意だが、世界標準には至らないのだという。

そもそも日本という国、独自の哲学が確立しているわけではない。多重構造の渡来文化をオリジナリティ化してきた国だ。そう考えると、第1ステップの『哲学者の頭』を持たないが故に、様々な問題が噴出してきているように見えてくる。原発…活断層をよく調査しないまま、「絶対的安全」という「要求条件」をぶっとばして、第3ステップからスタートしたのかもしれない。今のオスプレイの問題、基地のある岩国市などの立場はよくわかるが、第1ステップをぶっとばしている。オスプレイは米軍の戦術的な配置である。それが安全か?云々というのは第3ステップの問題だ。「哲学者の頭」から見れば、日米安保の是非を問うしかありえないだろうと思う。私は政治的には、ど真ん中なので是非を問わないが、どうも第3ステップから日本人は考える。そう枝葉末節から、技術的な問題から考えるのである。

昨日のエントリーでユダヤの超正統派のことを書いたが、彼らは第1ステップからストレートにくる。明確な「要求条件」がある。神との契約という要求条件は明確すぎるくらい明確だ。第2ステップも第3ステップもなし。彼らがガラパゴスなのか?それとも日本がガラパゴスなのか?朝から考え込んでいたのだった。

2 件のコメント:

  1. 「世界初の技術を開発するのは得意だが、世界標準には至らない」理由について、そういう考え方もあるのかぁ、と興味深く読ませてもらいました。
    今、私がドミニカ共和国で普及させようとしている日本発祥の治療技術は、今後はもっと広く認めてもらいたいと思うのですが、そのための第1ステップ、第2ステップを考えたいと思います。

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  2. LilY君へ。こういう新聞や読書から、面白い考え方を見つけては思索することは重要だと思う。こういう繰り返しで、なんかつかめる気がするね。

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