2012年2月29日水曜日

水説「アフリカの資本主義」

毎日新聞朝刊の「水説」に、ダンビサ・モヨ女史の話が出てきた。今日のコラム担当は、潮田道夫専門編集委員である。7日付けのフイナンシャル・タイムズに彼女の寄稿があったらしい。タイトルを今風に意訳すると『アフリカを見れば資本主義が分かる』。中身は、例のデビュー作『援助じゃアフリカは発展しない』のフォローアップというところだとか。アフリカが直接投資によって急速に発展していることを例示し(援助ではなく)むき出しの資本主義こそ発展の原動力であることがいよいよ明らかだと主張しているとのこと。

この投稿より数週間前、ビル・ゲイツ氏が1月26日付のニューヨーク・タイムズに「海外援助の真実」と題して寄稿している。援助の非効率性を避難し役に立たないという人は多い。しかし援助は確実に世界の貧困を減らしている。彼の財団はインドとバングラで洪水に強い米を開発中だが、これが出来れば3000万人が飢餓から救われるという。援助問題は不当に歪曲されている、真実を伝える努力が必要だ、と。

ここで、両者を比較しながら潮田氏は、「市場の論理だけでなく援助の論理でなければ手の届かない分野はある。しかしながら、モヨ氏の主張の力強さは魅力的だ。」と言う。

『先進国が忘れてしまった資本主義を追求する中で、孤立の大陸が繁栄しつつあるのを見ると、苦さとともに甘露の味がする。』とはさきの論文の一説。さんざんアフリカを収奪してきたヨーロッパが今、資本主義の荒々しい精神を忘れ、花見酒の経済に浮かれたあげく、借金地獄にのたうちまわっている。モヨ氏の述懐には多少「ざまあみろ」と言いたげな気分を感じる、とも。

折からメキシコ市でG20が開かれている。欧州危機対策が協議され、中国と日本で何とかならないかという話がでてきている。人を馬鹿にした話で先送りとなった。とは言ってみたものの日本人が、モヨ氏の尻馬に乗ってはしゃぐのも変な話で、資本主義の元気を忘れてしまった点では日本も欧州並みかそれ以上なのだと結んでいる。

…今日の水論、結局「荒々しい資本主義」の活力について語ろうとしているのであろう。なるほど、確かにモヨ氏のいうように、一部のアフリカ諸国で、直接投資が進み、「荒々しい資本主義」が開発を大いに進めている。開発経済学で言う「飛翔」をするためには、それなりにエンジンの回転数を上げなければなるまい。だから私は、この「荒々しい資本主義の活力」を否定するつもりはない。
しかし、私はアフリカの多くの人々が求めているのは、荒々しい資本主義そのものではないと思うのだ。それ以後も見据えた開発、持続可能な開発こそアフリカが求めているものである。私はそんな風に感じた次第。

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