2012年1月12日木曜日

ナイジェリアのゼネスト考

ロイター電よりダウンロード
毎日新聞の夕刊に「ナイジェリア ゼネスト暴徒化 燃料補助金打ち切り抗議」という記事が載っていた。先日、北部の「ボコ・ハラム」について書いたのだが、北部だけでなく、今度はラゴスや首都アブジャなど全土で治安が悪化しているらしい。WEBのニュースで、日本経済新聞、毎日新聞、ロイター電などを読み比べしてみた。

ゼネストのきっかけは、これまで燃料などへの補助金の打ち切りらしい。ガソリン価格が一気に2倍に高騰したという。1リットルあたり150ライラ(約71円)になったという。普通に考えると、ナイジェリアはアフリカ最大の産油国。だが、石油精製工業自体はあまり発達していないので、ガソリンなどの石油製品をベネズエラなどから輸入に頼っている。その割合は約7割にも及ぶと言う。この燃料補助金制度は、1兆ナイラ(約4600億円)の規模で、政府はこれをインフラ整備に回すと譲らない姿勢だ。エコノミストによると、この燃料補助金は、市場関係者や輸入業者に利用され、腐敗しており無駄な出費だと指摘されていたものらしい。

世界が注視するのは、石油生産についてだろうが、当然石油関係(ロイヤル・ダッチシェルやエクソン・モービルなど)の労働組合もストに入っているという報道である。とはいえ、石油生産はほぼ完全な装置工業であり、労働者がストに入っても大きな影響はないようだ。

とはいえ、ゼネストである。これに乗じた様々な治安悪化が懸念されるところである。普段は大人しい人々も、こういう騒乱があると普段の不満が爆発するものだ。まして、治安部隊が発砲したり、むやみに催涙ガスで威嚇したりすると、さらに混乱が拡大する。ゼネストの長期化は、やがてナイジェリアの経済を大きく圧迫することは間違いない。うまくソフト・ランディングすることを願うばかりだ。

ふと、佐々敦行氏の危機管理の話を思い出した。治安維持のためには断固とした措置をとること。但し、絶対に生命に危害を加えないこと。その一線を守ることで、多くの市民を味方にすることができ、大局的には治安維持に繋がるとのことである。アジア各地で、治安維持・危機管理のプロとして、この戦略を説いて回り、指導したという経験談だ。以来、アジア各国の治安維持は上手くいっているという。十二分に、日本的な発想であるが、珍しい「論理のMEDE IN JAPAN」であると私は思っている。

ナイジェリア政府は、敵に回す必要のない人々を敵に追いやっている。まずは、これ以上の犠牲を出さないことだ。そして治安部隊が発砲したことには、速やかに「遺憾の意」を表するこ。そこから、話し合いが始まる。こういうジャパニーズ・スタンダードが、グローバル・スタンダードになることを祈るものである。

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