2010年4月27日火曜日

ラクダに乗れるか否か


 1年生の地理Aは、今年も世界の気候区からやっている。熱帯が終わって、乾燥帯に突入している。ケッペンの気候区分で言えば、BW(砂漠気候)の話は面白い。この気候区は、年平均降水量が250mm以下の地域をさす。定義したら簡単なのだが、かなりえげつない気候区である。ワジと呼ばれる枯れ川がある。私はケニアのAw(サバナ気候区)でも沢山見た。地理の教師仲間の金沢のT先生とキャーキャー言っていた。この枯れ川、なかなか深い意味をもっている。唐突に生徒に質問した。「砂漠気候で、最も多い死因は何か?」およそ高校の授業らしくないのだが、実は重要な質問なのである。生徒は、「水不足」や「熱中症」などと答えるのが常である。しかし正解は、「溺死(水死)」である。
 砂漠気候の降水は、何年かに一度ドパッと集中豪雨として降ることがある。その豪雨が枯れ川をつくるのである。ところで、砂漠を行くキャラバンは、この枯れ川を利用して進むことがある。つまりラクダとともに枯れ川を歩いているのだ。そこに遠くでおこった豪雨の水が鉄砲水として襲ってくるのである。このことは、何かの本で随分前に読み、授業でずっと使わせてもらっている。また1日の気温の日較差が大きいのも特徴。昼間暑いからといって、簡単に野宿してはならない。夜はマイナスの気温になることも多い。私はブルキナのサヘルで半・野宿したことがあるが、全ての衣類を着て、シュラフ(寝袋)にくるまって寝た。
 
 ところで今日の本題である。これも生徒に話したのだが、ラクダの話である。私はラクダが好きではない。ラクダは、家畜の中でもかなり凶暴で、気に入らないと唾を吐く。この唾が強烈に臭い。アフリカのラクダは”ひとこぶラクダ”である。乗るのは、こぶの上であり、馬などに比べかなり高いし、不安定である。こんなラクダに乗る連中は偉大だ。そのラクダに乗るはめになった。ゴロン・ゴロンという街での出来事である。4月17日のブログで登場したトゥアレグ人のアルベリーが、ラクダに乗るオプショナル・ツアーをコーディネイトしてくれたのである。気は全く進まなかったが、これも異文化体験とOKした。ところが、鐙(あぶみ)もない上に、鞍の位置が信じられないほど高いのである。私は腹筋がない。足も長くない。アルベリーやオマーンに無理やり乗せられた時、股が裂けるのではないかと悶絶した。しかも、前で足をクロスさせ、ラクダの首筋に置くよう言われたのである。あほか。そんな態勢でラクダが立ったら、私は左右どちらかに倒れるのは必定である。きっと彼らは物理学というのを知らないのだ。私は、見事に物理学の法則にしたがって落下した。アルベリーもオマーンも必死の形相になった。ここで、私がせめて騎乗(ラクダだが…)の人にならなければ、彼らは大損である。みんなに支えられ、ようやく写真だけは撮ったのである。当然、ラクダは一歩も進まなかった。進んだら、物理学の法則が働くであろう。二度と私は乗らない。とはいえ、アルベリーやオマーンには感謝している。滑らない話を1つ作ってくれたのだから…。

 人間には2種類ある。それは、「ラクダに乗れる人間」と「ラクダに乗れない人間」である。ワガに帰ってから、荒熊氏に「ラクダに乗ったことはありますか?」と聞いてみた。荒熊氏も私同様、ラクダに乗れない人間だった。ちょっと安心した次第である。

追記:明日は、本校の教職員の歓送迎会です。赴任9年目、激務の日々の中、ついに幹事の役が回ってきたのでした。4月はブログ皆勤を目指してきたわけですが、その日のうちに帰宅し、PCの前に座れるか定かではありません。月間皆勤を目指していますが、無理やり達成するために駄文を書くのは美しくないと思います。と、いうわけで明日はおそらくお休みすると思います。スミマセン。

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