2010年3月13日土曜日

神があなたをゆるさないわ


 初めてアメリカに行ったのは、大阪市教育委員会の海外派遣研修だった。この旅行は、私は知らずに応募したのだが、管理職(校長や教頭、指導主事等)になりたい人のための研修だった。事実この旅行の参加メンバーの先生方は、ほとんどが小中高の管理職になられた。私と言えば、そんなことも露知らず、アメリカを大いに見聞し、その後、管理職など目指さず10年ほどアメリカ研究にどっぷりとハマってしまったのである。その後JICAのケニア研修に行ってからはアフリカ研究に、またまたどっぷりハマってしまった。人生、そんなもんだと思う。

 さて、昨日は、アメリカの黒人差別というか、黒人にまつわる話を書いた。今日も少し違う角度から書いてみたい。初めてのアメリカで、シカゴに行った時の話である。ダウンタウンにあるホテルから、科学産業博物館へ南下した我々のバスが交差点前で突然停滞にまきこまれた。全然動かないので何事かと降りてみると(そこは黒人街で若干治安に問題があったのだが…)、シカゴ(市民)マラソンのルートを横切ろうとしてたのだが、先頭が来るということで、警察に止められていたのだった。<というわけで、今日の画像はその時のスナップである>
 我々のバスの横の家の住人は、黒人のおばさんで、自分の車を出そうとしていた。ポリス(映画に出てくるようなアメリカン・ポリスだ!)が止めていた。ガイドさんに彼らのモメテいる話を通訳してもらった内容をドラマ風に書くと次のようになる。「いつ私の車は出れるのよっ!」「Soon!」「ほんとねっ!」と、いったん家に入って着替えてきた彼女が車を出そうとすると、ポリスは車の前に背を向けて腕組み。(かっこ良い。)彼女がエンジンをブイブイいわせても微動だしない。彼女は、ドアを開け、かみつくように「どいてっ!」ポリスは「文句があるなら市長に言ってくれ。」と言ったのだった。まさに映画の1シーンであった。その時、彼女は黒いワンピースに長めのアフロな髪をゆらせ、サングラス越しにポリスにドスをきかせて、こう言ったのである。「神があなたをゆるさないわ!」

 凄い台詞である。日本では絶対聞けない台詞である。私は感激した。日本ではあまり意識されていないが、アメリカは非常に、信仰の篤い国である。イギリスなどよりはるかにキリスト教が盛んだ。おそらく彼女は教会に行くはずだったのだろう。今でもあのシーンを鮮明に思い出す。私のすべらない話シリーズ・シカゴ編である。

2 件のコメント:

  1. 私が会ったアメリカ人はほとんどカトリックでした。なのでボストン出身の無神論者に会った時は、アメリカ人なのに変なヤツだと思ってしまいました。私は不可知論者ですが無神論者ではないので。
    アメリカに行ってみて一番意外だったのが、愛のためにvirginを守るカップルが実在することでした。ついつい私はそういうところで宗教の力に感激してしまうのでした。

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  2. アメリカの宗教事情では、プロテスタントが優勢ですが、宗派単位ではカトリックが最多数派です。メリーランドやペンシルベニアが比較的多いです。NYCも、アイリッシュやイタリアーノが市長選などでは優勢で、ポリス、消防士などはカトリックが多くなります。9.11の時の慰霊祭が、カトリックのトリニティ教会で行われたのは偶然ではありません。
     私はオタワの国会議事堂前で、避妊治療反対を訴えるカトリックとあったこともあります。

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