2010年3月2日火曜日

アフリカ開発経済学テキストⅡ


 今日も脱稿したテキストのことを書こうと思います。詩を入れたことに続いて、構成を若干変えました。単元1は、「イントロダクション/ESDと国際理解教育/開発経済学とは何か?」これは前回と同じです。単元2で、「アフリカ開発経済学の基礎/経済成長と資本の蓄積」と題して、平易に書き直しました。開発経済学の法則をまず示します。ここでのまとめは、以下のようになっています。
 経済の成長のためには、生産性の向上が必要である。そのためには、資本の蓄積が必要である。サブサハラアフリカの諸国は、これがうまくいっていない。だからこそ長らく経済成長しなかったのである。なお、かなり単純に言ってしまえば、『経済はマグロである』経済成長が止まれば死んでしまう。サブサハラアフリカの途上国の多くが低成長だった故に、今にも死にそうな状態が続いた。まだまだ低成長が続いているといってよいだろう。…なんとなく結論として歯切れが悪いのは、ここ数年サブサハラアフリカの経済成長率が格段に上がっているからです。最新のデータやグラフも挿入して論じると、こう書かざるを得ません。
 単元3「貧困と何か?」には、またI氏の詩を挿入しました。『ブルキナファソの暑い夜』という詩です。この詩は、バナナ売りの少女の詩よりさらに長く、私は涙なしには書けません。このブログのリンク先の『ブルキナファソ竹の子の家』の「竹の子の家OPEN」のページを開くと見ることができます。是非読んでみてください。
 この詩を読んで貧困とは何かを共に考えた後、アマルティア=センの「貧困」を語ります。センの「貧困とは所得水準だけで決定されるものではなく、個人がそれぞれの目的を達成するために自己の潜在能力を生かす機会を奪われる状態」という定義を説明し、この考えが、HDI(人間開発指数)やMDGs(ミレニアム開発目標)に与えた影響を説きます。MDGsは、ジェフリーサックスが主に策定したものなので、詳細は後に譲るとして、次にこの単元では、HDIを詳しく見ていきます。各国の貧困の度合いは、現在このHDIが主流です。1人あたりのGDPと乳幼児死亡率などの保健衛生の達成度、識字率などの教育の達成度が加味されています。センの言う潜在能力を生かす機会を奪うものが加味されているのです。さらに、「人間の安全保障」について説明します。恐怖と欠乏からの自由という概念と現実を語ります。前回のV2.24では、センの「貧困」は、後で学びましたが、ここ2年の授業実践から、先に学ぶ方が効果的だと判断した次第です。これによって、国際理解教育でも開発経済学でも重要な概念である、HDIも人間の安全保障も有機的に学習できると思います。今日は、ここまでにします。

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