2025年9月1日月曜日

教材研究 産業別人口から Ⅰ

地理総合の教材研究は、近代国家論の資本主義に入っていく。どこから入るか大分悩んだのだが、産業別人口から考えていくことにした。

まずは、缶コーヒーの価格が120円であるとすると、コーヒー豆(第1次産業)は15円、缶代と缶の加工費(第2次産業)が25円、販売(第3次産業)が80円になる。それぞれ、労働賃金とコストと利益が含まれているのだが、コストについては、あえて細かく説明したい。高校生にとってこういう現実的なコスト(例えば、缶の原料費のコスト:鉄やアルミの採掘費用+精錬費用+輸送費+それぞれの労働賃金になる。)は、イメージしにくいからである。

このコーヒー缶の例で、利益は、第1次産業<第2次産業<第3次産業となる。第3次産業のなかでも金融業が最も利益率が高いのだが、これは後に説明するつもり。

次に、産業別人口比とHDIの順位を比較してみる。二宮書店のデータブック・オブ ザ ワールド(画像参照)から、15カ国をピックアップしてみた。第1次産業の人口比が低い順に表にしてみた。第1次産業人口比における先進国(低い)と途上国(高い)の差は歴然である。また特記事項として、農業従事者1人あたりの耕地面積(データブックの各国別データから引用)なども追加した。

第一次産業は農林水産業であるが、多くの国はその中でも農業の比率が高いと考えられるので、農業における土地生産性と労働生産性(これは地理のカテゴリーである。)について、少し深く見ていくことにした。①土地生産性が低く、労働生産性が高いアメリカやオーストラリアなどの(地理の専門用語で言うと)商業的穀物農業。②土地生産性も労働生産性も低い途上国の天水耕作の影響を大きく受ける(これも地理の専門用語で言うと)自給的穀物農業。③土地生産性が高く、労働生産性が低い(=安価で雇用)、途上国のプランテーション。この安価で雇用されていることについては、フェアトレードにも触れることにした。④土地生産性も労働生産性も高い園芸農業。農業従事者1人あたりの耕地面積が狭い日本やオランダだけでなく、途上国でも見られる。

…地理総合というフィールドで、資本主義を語ろうとした場合、意外にこの産業別人口比から見ることは有効だと思う。次回は、第1次産業から第2次産業・第3次産業へと労働人口が移動していく資本主義の発展の法則に繋げたい。…つづく。

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