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最初の先進国イギリスは優位性の中で、リカードの比較優位説によって国際分業を提唱する。しかし、フランスはナポレオンの大陸封鎖令で保護貿易化し自国の工業を育成、ドイツもリストの保護貿易説をビスマルクが採用、関税を導入して自国の工業を育成した。また、アメリカでは南部の自由貿易政策、北部は保護貿易政策を唱え、南北戦争の遠因をつくった。日本でも関税自主権の回復が大きな政治課題であった。保護貿易ができないわけで、自国の工業化が進まなかったのである。WWⅠの後の世界恐慌後、英仏はブロック経済、アメリカはニューディール政策、ドイツと日本はファシズム(この米独日はケインズの有効需要を自国内のインフラ整備で行うか軍需で行うかという相違)で、すべて保護貿易化を行った。その結果WWⅡが起こったという反省から、戦後の自由貿易体制(CATT/IMF/IBRD)を生むことになる。さらに、情報通信・交通機関の発達、そして冷戦の終了後、人・モノ・カネが国境を超えるグローバリゼーションへと発展する。
さて、このグローバリゼーションにおいて、コストを最も容易に削減できるのは労働賃金である。そこで安価に抑えられる途上国で生産を行う企業が増えてくる。もちろん、前述の紛争の罠や劣悪なガバナンスの罠に陥っている国は避けられ、きちんと教育を受けた従順な労働力がある国に投資され、技術力によって、サプライチェーン(SCM)に組み込まれることになる。たとえば、日本のメーカーのパソコンでも、ある部品は台湾、ある部品はマレーシアといった具合である。こうした企業の途上国への進出は、企業はコスト面のメリット、途上国に生産・経営等のスキルを学べるというメリットがある。実際に代替産業が生まれる可能性がある。上記画像は、サプライチェーンに組み込まれた国々。輸出品目(額)を確認すると、機械類が多い。インドの石油製品とあるのは、精製を行っていることを意味している。…マレーシアには、Pensonicという(代替産業の)家電メーカー(画像参照)がある。(笑)私は日本企業と勘違いして、えらく安いなあと思い扇風機を購入したのだが…。また日本企業の協力を受けて国産車メーカーが頑張っている。フィリピンと聞くとバナナを連想するが、マレーシアで、メガネ(日本のMIKIの店舗)を購入した際、フィリピンで私に合ったレンズを作ると言われて驚いたことがある。
ところで、(前述のように)自由貿易体制は、国家間の戦争を防止するという利点があるが、同時に保護貿易可で国内産表を発展させることが難しくなる。投資を受け、スキルを学べる国はいいが、様々な罠に陥って投資を受けられない国には、経済発展への展望が見えない。しかもIMFや世界銀行等は、そういった国々に半ば自由貿易政策(先進国の商品を低関税で輸入させられ、先進国は天然資源やプランテーションの商品作物を低関税で輸入できる)を強制しており、これを受け入れないと融資を受けることができない。すなわち、途上国側から見るとその経済構造を固定化するもので、梯子を外されているのに等しい。開発経済学では、このような状況を「構造的暴力」と呼んでいる。…最後に、最近のニュースでもあった中国のアンゴラモデル(天然資源を担保に資源開発やインフラ整備を行うが、全てを中国企業と中国人労働者によって賄う方式)の解説と、新植民地主義についても論じるつもりである。
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