2024年7月27日土曜日

鳥瞰・基督各宗派の比較表 考

「鳥瞰するキリスト教の歴史ー宗派・教派の違いがわかるー」(岩城聰/ペレ出版)には、実に興味深い比較表が載っている。この表(左記画像:拡大可能)は、前述の文化比較の地理の教材として実に有用である。著者は、京大の哲学科に学んだ方であるので、私のような市井の高校教師が文句をつけることは実に僭越であるが、いくつか私の考えを述べ、自分の教材の作成に活かしたい。

●三大宗教の違いのキリスト教の信仰の創始者は、表面的にはイエスだが、実際にはパウロではないかという疑問符を私は持っている。ユダヤ教についても、祖先としてのアブラハムより、モーセの位置が重要に思われる。●西方キリスト教と東方正教の違いで、聖霊の発出がきちんと書かれていることは重要だと思うが、私は、聖母マリアの原罪の有無(カトリックでは、イエスと聖母マリアには原罪がないとし、正教会はイエスのみ)も重視したい。もう少し細かくなるが、典礼でカトリックは誕生祭を、正教会は復活祭をそれぞれ最重視しているところも重視したい。カトリックは柔軟で、正教会は硬直と言ってしまうのは言い過ぎだと思うし、第三者として、どちらが正しいなどと言う気は毛頭ない。

●カトリックと各プロテスタントの違いについて、まず表の並びについて、である。この表では、おそらく歴史的な視点でこう並んでいると思うが、私は自分の教材では、カトリックに「近い順」で、聖公会・ルター派・カルヴァン派という順に並べたい。

学院の宗教科の先生は、前述のように、ルター派が最も近いと言われていたが、それは聖公会がアングロ・カトリックとも呼ばれるハイ・チャーチから、カルヴァン派にかなり近いロー・チャーチまでの幅を持っているが故だと思う。聖職位の欄を見ると明らかだが、組織的にはカトリック同様の主教制を取っているし、カトリックと同じく聖職者は司祭(=神父)と呼ばれ、万人司祭制で牧師と呼ぶルター派・カルヴァン派とは明らかに一線を画しているからである。また、啓示の源泉についても、聖書を重んじるのは全ての宗派は同様だが、ルター派・カルヴァン派が聖書のみであるのに対して、カトリックは伝承、聖公会は伝統がそれぞれプラスされる。伝承と伝統は同じではないだろうが、ルター派・カルヴァン派とは大きく異なる。表にある聖公会の+理性に関しては、これまた聖公会内に幅がある。ハイ・チャーチなどは否定的であるからだ。聖餐論については、キリストの血と肉=ぶどう酒とパンの話であるが、ブディストである私には、かなりわかりにくいので割愛。

カルヴァン派の内容に深く入る前に、この表をもとにあらためて考察、整理してみた。とくに、プロテスタントで、ルター派と聖公会のどちらがカトリックに近いのかというのは、大きなテーマだった。私の比較表では、正教会ーカトリックー聖公会ールター派ーカルヴァン派という順でまとめることになるだろうと思う。

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