2023年7月2日日曜日

共通テストはロールズがお好き

https://weekly-economist.
mainichi.jp/articles/202011
03/se1/00m/020/016000c
倫理の共通テストで、よく出題される思想家にロールズがいる。社会契約論を現代的に再構築したアメリカ人である。ロールズは、社会契約論的な原初状態では、無知のヴェールに覆われているとする。すべての人が合意する原理が公正な分配をもたらすと考えるが、人々は自分についての情報が全て遮断され、階級や資産、能力などがわからない状態を意味している。よって、無知のヴェールに覆われた人々は、自分にとって境遇を良くすることだけを考える。たとえば、労働者なら勤務時間を減らしてほしいとか、時給を$2上げてほしいとかである。この状況では、不平等がより大きくなるルールを許容することになってしまう。

ロールズは『正義論』の中で、無知のヴェールをはぎ、議論すると、次のような公正としての正義の原理が承認され、契約されると考えた。第1原理は、すべての人々が他者の自由と両立できる限り、できるだけ広い範囲の基本的自由と平等を保つ。第2原理は、社会的経済的不平等は、次の2つの条件を満たすものでなければならない。①公正な機会均等的原理:公正な機会の均等を確保した上で生じる不平等であること。②格差原理:不平等がない時よりあった時のほうが最も不遇な人々の立場がよりましになる場合にのみ不平等を認めること。…端的に表現すると、アファーマティブ・アクションである。

ちなみに、つい先日、米連邦最高裁はハーバード大の人種優遇入試制度に憲法違反の判決を下した。これは、アジア系が差別され、アフリカ系が優遇されていると学生のNPOが訴えたものらしい。JFK以来のアファーマティブ・アクション原則が崩れるのだろうか。

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