2018年7月14日土曜日

マラッカ・ジレンマ

マハティール首相が、中国の一帯一路戦略のひとつである東海岸鉄道の建設中止を発表した。前政権の親中国路線に楔を打ち込み、大国嫌いの面目躍如といったところである。
この東海岸鉄道は、KLーシンガポール高速鉄道計画と違い、そもそもマレーシアにとって、あまり経済的価値はない。もちろん東海岸の開発は進むかもしれないが、経済効果は薄いとされている。沿線の人口が少なすぎるのだ。

この東海岸鉄道を中国が進めたい真意は、マラッカ・ジレンマと呼ばれる地政学的問題の解決にある。マラッカ海峡は未だ米英の軍事的な支配下にある。
もし、この海峡が封鎖されると、中国の貿易(特に石油の輸入)は大打撃を受ける。そこで、マラッカ海峡に面するKLの外港クランと東海岸のクアンタンを結ぶ鉄道を建設するという計画だ。一時は、クラ運河構想というのもあったらしい。このへんの長期的な発想は中国らしい。

ともあれ、まずは、マハティール首相はこの計画を中止とした。ただ老練な天才的な政治家故に、これから先は、どう動くのかわからない。新首相には私心などなく、マレーシアの国益しか脳裏にはないはずだ。中国同様、中長期的な視野で判断するに違いない。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13341

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