2014年11月28日金曜日

WFP エボラ3カ国の食糧難を憂う

日経の朝刊に、APを通じてWFPが、エボラ出血熱の感染地域である西アフリカ3国の100万人が食糧難に陥る恐れがあると伝えたという記事が載っていた。現在、3カ国の隣接国は国境を封鎖しており、人や物資の動きを制限しているのが、最大の原因である。一部の航空会社も運行を停止しているほか、コートジボワールのアビジャンも3カ国からの寄港を禁止したという。要するに、感染地域は極めて孤立を深めているというわけだ。

…WEBで、3カ国の穀物自給率を調べてみた。少し古い統計になるが、2003年現在で、最も高いギニアで73,0%、シエラレオネが39.2%、リベリアが21.5%となっている。もともと、アフリカの穀物自給率は低い。アフリカの貧困の最大の原因は、農業生産性が低く、穀物自給率の低さを他の財で外貨を稼がざるを得ない故である。常に飢餓の危機が襲うわけだ。(平野克己先生の開発経済学の中核である。)

こんな状況下で、隣接する3カ国が閉鎖された場合、当然穀物価格が上昇するし、3カ国の財が不足分を補えるとは思えない。シエラレオネとリベリアのダイヤモンドの輸出は今も健在なのだろうか。WFPとしては、当然のようにその辺をシミュレーションしていることだろう。緊急事態ではあるが、3カ国の穀物生産が崩壊しない程度に、慎重に食料支援をしてもらいたいものだ。というのも、無料の食料が一気に供給されると、高騰していた穀物価格が一気に下がり、穀物を生産する農家の収入が不安定になり、持続可能な農業が破壊される恐れがあるからだ。善意の支援策が現地の農業を破壊することがよくあるのである。

「市場を飼いならす」とは、かのアマルティア=センの名言である。今やクレイジーだといっていい金融資本に操られたグローバル経済を飼いならすことは不可能に近いが、緊急事態の閉鎖された3カ国での市場を飼いならすことは十分可能ではないか、と考える次第。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM1601E_W4A810C1FF8000/
<世界の穀物自給率マップ2003年>
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0319.html

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