2014年11月12日水曜日

日経 サウジの原油安戦略

http://www.allposters.com/-sp
/Saudi-Arabia-Army-Royal-
Saudi-Air-Force-F-15
-Eagle-Fighter-Jet-Posters_i9075929_.htm
昨日の日経のGLOBAL EYE(松尾博文編集委員)は、なかなか示唆に富んだ内容だった。サウジアラビアの原油価格引き下げの意味を問うものである。この原油安、当然サウジにとっては減益になるわけだが、2つの外交戦略が見て取れるとのこと。

サウジは、アメリカの求めに応じて「有志連合」として、イスラム国への空爆を行っている。アブドラ国王は「イスラムの道を外れた過激派は根絶する。」と述べており、サルマン皇太子の王子の1人ハレド・ビン・サルマン王子が、空軍パイロットの1人(8機が参加したそうだ。)としてシリア空爆を行ったという。王族が先頭に立って軍事行動を行っているわけで、その強い意志が見て取れる。アメリカを強く後押しているわけだ。

この原油安は、ロシア・イランにとって、大きな痛手となっている。ウクライナ情勢・イランの核開発に対しても、欧米の後押しである、といえる。

しかし、一方でしたたかな戦略が見え隠れするという。それは北米のシェール・オイルを押さえ込む意図である。シェールオイルの採掘は、原油よりコストが高い。1バレル$80を切れば、採算確保が難しくなるらしい。ロイヤルダッチシェルやシェブロンなどが北米の権益を一部手放す動きもあるそうだ。

アメリカに「イスラム国」「ロシア」「イラン」といった敵に対し、後押しして恩を売りつつ、北米産のシェールの需要を押さえ込むというわけだ。巧妙なパワーゲームをサウジは展開しているのである。

…こうして見ると、サウジといい、中国といい、巧妙な外交戦略を発動していると改めて感じる。アメリカはこのところ後手後手に回っているし、まして日本においておや、である。

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