2014年11月15日土曜日

日経 オーストラリアと海中の契り

海自の最新鋭艦・そうりゅう型
http://www.mod.go.jp/msdf
/formal/gallery/ships/ss/
soryuu/501.html
日経の「真相深層」に、興味深い記事が載っていた。12日の首脳会談でオーストラリアと潜水艦を含めた装備品の開発協力で一致したというのである。タイトルは「海中の契り」である。

潜水艦というものは、最高機密中の機密である。アメリカがステルス機のF22を、いくら安全保障条約を結んでいる日本であっても、FX(次期戦闘機)選定時、購入させなかったように、日本にとっては、ディーゼル潜水艦の技術は世界的に優秀で、他国に簡単に渡せるものではない。

ディーゼル潜水艦は、水上は空気を取り込んで、ディーゼルで航行する。海中はモーター走行である。原子力潜水艦のように、長期間潜ることはできない。だが、その静粛性においては、原潜に勝る。日本の潜水艦が優秀だと言われるのは、その静粛性にある。エンジン、モーター、スクリューの技術に優れているためである。

これをオーストラリアと共有する、という話なのだ。オーストラリアは、コリンズ型というディーゼル潜水艦を6隻保有しているのだが、旧式なので15年後をめどに順次新型艦に変えていくらしい。そこで、協力関係を結ぶというのだが、これには深いわけがある。中国である。

中国は潜水艦を66隻(うち原潜を5隻)保有しているが、最近インド洋にも進出するようになった。なにかと問題が起こっている東シナ海、南シナ海だけでなく、インド洋まで進出してきたことは、日本のシーレーンにとっても重大な危機となる。日米豪の三カ国は、この状況を受けて、日本が東シナ海、オーストラリアが南シナ海とインド洋、アメリカはグァム島にロス級の原潜を4隻母港化して全体を見渡すというシナリオを描いたというわけだ。ちなみに、オーストラリアは、魚雷や巡航ミサイル(これは魚雷発射管から発射できる。)をアメリカから入手するとか。

グローバル化が進んで、もはや国家間どうしの戦争は、経済的リスクが高すぎる。私は、国家間の戦争は、もう出来ないと思っている。全く無駄な話のような気がするのだが、日本政府は、それでも中国をかなりの脅威だと認識していることがよくわかる。

それにしても、日本にとって虎の子の技術をオーストラリアに差し出すという、凄い話である。

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