2014年9月14日日曜日

中公文庫「戦争の世界史(下)」 4

ヨーロッパで近代国家が形成される過程において、ナポレオンによって国民皆兵(徴兵制)がしかれた。これで他国も含め国民国家化が一気に進む。ナポレオン以後、プロシアが参謀制度を確立する。プロシアのこの国家戦略は見事に当たり、他国もこれに追随する。WWⅠでは、この国家規模で編成された軍に、近代産業が技術的に関わっていき、軍需生産のマネジメントのために官僚組織が形成されていく。WWⅡは、それがさらに拡大、巨大化していくのである。「戦争の世界史(下)」 を読んでいると、近現代史における戦争の意味が、たんだんつかめるようになっている。

…今日も、頭の中は文化祭のことでいっぱいである。わが4組はどう動いているのだろうか。実は、私はこういうイベントに関してはかなり詳しい。演技進行庶務という立場で、様々なイベントの進行状況を見ながら、人、モノ、カネのマネジメントをしていた経験がある。だから、生徒の動きを見ていると、大局から見た戦術的な取り組みの甘さや、戦術的な細かな手配の遅れが次々に見えてしまうのだ。正直、これは苦しい。大きなストレスとなっている。

戦争と言うのは、国家の命運をかけた命がけのイベントである。自国の戦力をいかに効率的に使い、勝利するか。まさに、人、モノ、金のマネジメント能力が試されるのである。この本でも、WWⅠで、ドイツがチリから輸入していた火薬原料をイギリスに封鎖され、国内で代理品をつくり対応していたこと。その生産量によって、砲弾の量を制限していたことなどが出てくる。こういう計算をしていた官僚が存在し、それを実現していた産業家がおり、実務的に動かされていた人々がいたわけだ。

国家の官僚制度は、二度の世界戦争によって大いに組織改革を迫られたであろうことは想像に難くない。夜警国家などと悠長なことを言っておれない時代に突入していくわけだ。ケインズの理論が、大恐慌以後、比較的スムーズに多くの国家に取り入れられたのは、その理論的な優秀性だけでなく、WWⅠによって形成され、訓練された国家組織がすでにあったからだともいえるだろう。

…ところで、文化祭。マネジメント能力を強要されているのが、今の本校の3年生なのだろう。私だって、何も学ばず、何も失敗せずマネジメント能力を身につけたわけではない。舞台発表まであとわずかである。私も最後の力をふりしぼって生徒諸君の力を大いに引き出したいと思っている。

…「戦争の世界史(下)」を読んで、現実とオーバーラップしながら、こんな感想をもったのだった。

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