2014年1月8日水曜日

総合的学習 アメリカ学入門2

総合的学習はこれまで、州コードを調べさせたり、クイズ形式でやったり、「明白なる天命」「多様性の統一」など自由や民主主義、移民の歴史などを講義したりしてきた。今回は、ちょっと準備に時間を費やして、パワーポイントで、ニューヨークの紹介をしたのだった。

社会科教室なので暗幕がある。超小型プロジェクターを使っての授業となった。まあまあ盛り上がったのだった。ただ、真っ暗なので、反応がもうひとつわからない。そこが難点だなと思う。英語科のLL教室は、明るいまま、パソコンのモニターを見ながらなので、反応がよくわかるのでやりやすいのだ。

今回のニューヨークの紹介では、96丁目のB&Bのまで経験した話と、ミュージアムマイルで経験した話をメインとした。ワシントンDCまでUSホロコースト博物館を見に日帰り旅行した夜のことである。ヘビースモーカーの私はB&Bに入る前に、喫煙をしていたのだが、そこにB&Bの3Fの住人が帰宅してきたのだ。男女の白人の若者で、私を見るなり、「君がB&Bに宿泊している日本人か。」ということになった。「ニューヨークはどうだい?」という感じでフランクに語り合っていたのだが、1人の男性が、道をはさんだ前の家に、黒人が座っているのを発見したのだ。雪が舞う寒い夜だった。コートの襟を立てて座っている。ホームレスのようだった。彼は、さっと黒人の方に歩みよって、$1札を渡し、「Get out!」と言って追い出したのだ。女性がまるで映画のように両手を広げて「仕方ないのよ。」もう一人の男性が「この辺の治安が悪くなると地価が下がるのでね。」と言ったのだった。アメリカの実相なのである。絵に描いたような人種差別は決してなくなったわけではない。

もうひとつの5番街のミュージアムマイルでの話は、その対蹠にある話だ。メトロポリタン美術館を一気に見終えて、ベンチでこれまた喫煙していると、親子連れが南のほうから歩いてきた。白人のちょっと老と言った方がいい夫婦が、黒人の男の子を連れて歩いているのだ。しかもその子は障害を持っているようだった。だから、ゆっくりと歩みを進めてくる。老夫婦の顔は幸せに満ちていた。推測するに、彼らは養子として彼を迎えたのだと思う。アメリカで養子を申請する場合、男女も人種も指定できない。老夫婦は、彼を心から喜んで迎え入れたのだろう。ほんと幸せそのものの散歩姿だった。北へ向かい、金色の夕陽が彼らの背を照らしていた。私は感動して、彼らに合掌したのだった。

真剣に、生徒諸君に訴えた。アメリカに黒人への差別はあるのか、ないのか。本当のところ、私にはわからない。ただ、私が経験したことは事実だ。是非自分の目で見てきてほしい。総合的学習としてのアメリカ学入門で語りたいことはいっぱいあるのだが、この2つの話は、なんとしても語りたかったことである。

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