2014年1月2日木曜日

靖国神社問題を調べる

大村益次郎像
年末の首相の靖国神社参拝が様々な論議を呼んでいる。いつも思うのだが、感情的で単純なナショナリズムで論じられるのが最も怖い。私はそう考えている。中国や韓国が主にA級戦犯が合祀されていることに批判しているわけだが、そもそも、どんな人々が「英霊」(このコトバは、幕末の水戸学の藤田東湖の詩からとったものらしい。)となって祀られているのか調べてみた。

日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、その後の日中戦争、太平洋戦争…だけがと思いきや、いろいろと不思議な「英霊」もいるのである。

「英霊」は、戊辰戦争の新政府軍側の戦死者から始まる。当然、彰義隊や新撰組、幕府側の戦死者(北越戦争や奥羽戦争、函館戦争など)は入っていない。ところが、吉田松陰(刑死)、坂本竜馬(暗殺)、高杉晋作(病死)、中岡慎太郎(暗殺)、武市半平太(刑死)、橋本佐内(刑死)、大村益次郎(暗殺)などは維新の受難者として入っている。それで、境内には、大村益次郎の銅像があるわけだ。(画像参照)

すこしおかしいのは、禁門の変で御所を警護して戦死した会津藩士は祀られているのに、同時に禁門の変では賊軍の久坂玄瑞(しかも自害)も祀られているらしい。

西南戦争でも、西郷隆盛など薩摩軍は賊軍になったので、入っていない。江藤新平や前原一誠も同様に入っていない。要するに維新の功労者でも反乱を起こしたものは駄目なのだろう。西南戦争で戦い戦死した会津の警察官(会津戦争時は賊軍扱いだ。)は祀られていることになる。だんだんよくわからなくなる。

堺事件(隊旗をフランス水兵にとられ、フランス兵を殺害し、自害させられたという幕末の事件)土佐藩兵も祀られている。これもわかりにくい。

乃木将軍は明治天皇に殉死したが、戦時ではないので祀られていないし、東郷平八郎も病死なので祀られていないという。うーん。

ところで、A級戦犯を合祀した松平春嶽の孫にあたる第6代目宮司の松平永芳は、東京裁判は国際法的に認められていない、東京裁判を否定しなければ日本の精神的復興はできないと考えていたらしい。また政府が国内法によってA級戦犯の戦死者と同じ扱いと公文書で通達したゆえに、祀らなければ、祭神の人物評価を行って靖国神社は祀ったり祀らなかったりするということになると言っているようだ。…うーん。難しいな、靖国問題は。

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