2013年6月4日火曜日

TICADⅤが終わった日に。

TICADⅤが終わった。このところ自宅で毎日新聞、モーニングで日経、学校で朝日新聞と3つの新聞を読むことが多いのだが、マスコミのアフリカへの認識がかくも変わったのかと思ってしまう。私がアフリカに興味を持ち勉強を始めた10年前とは雲泥の差がある。貧困。内乱。少年兵。エイズ。人間の安全保障の問題がその中心だった。BOPや民間投資は話題にもならなかった。

それが、ダンビサ・モヨ氏のアフリカへの援助を否定した著書が出たころから、大きく変わったような気がする。世界の開発経済学も彼女の発想に追随することになった。中国のアフリカ進出は最初批判に満ちていたが、鉱業の技術的進歩と相まって、アフリカの資源が大きく注目されてくるようになった。そういうグローバルな変化が、そのままTICADⅤの最終報告には現われていたように思う。

私などただのアフリカ好きの高校教師で、このTICADⅤについて、とやかく言う資格はない。しかし、ひとつだけ気になるのは、「北アフリカやサヘル地域におけるテロ対処能力向上のために2000人の人材育成および機材供与等の支援」についてだけは、どうも…と思ってしまう。

東南アジア地域において、日本の警察の治安技術(放水・催涙弾などの非銃器使用のシステム)が供与されて成功したことはあるが、アフリカの極めて遊牧民的な治安問題に日本の経験が通用するのだろうか。私の疑問はそこにある。

先日の不幸なアルジェリアの事件があり、その対応をこのTICADⅤで示さねければならないという、政治的な理由があるのかもしれないが、どこかの誰かのように「実現不可能で無意味なパフォーマンス的花火」を打ち上げるのは、至誠がないことを露呈し、信用を失うだけだと私は考えるのだが…。

1 件のコメント:

  1. テロ対策の下り、まったくその通りだと思います。
    このパワーポイント資料、僕も見ましたが、実に酷い。まず、湿潤地に暮し、テロの経験のない日本で、砂漠のテロの対策など教えられるわけがないし、そもそも誰が見方で誰が敵か「すら」わからないなかで、調停もしようがありません。まかり間違って火器の供与というところまで踏み込んだとしたら、大きなしっぺ返しを食らうことも覚悟しておかねばなりません。アルジェリアの事件で明らかになったのは、日本が西側に位置づけられていることで、黙っていればともかく、行動が伴ったときには、それなりのことが起きるのではないか、と思ってしまいます。
    ちなみに、アフリカの日本公館にはたまに「武官」がいますが、そのほかは丸腰状態。米仏公館に頼りきり。今の日本の立場を考えれば、この辺のリスク管理はしっかりやってほしいところです。

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