2013年6月9日日曜日

モザンビークの護民官2

3月30日に見た舩田先生のP/P
昨日の夕方、TV(毎日放送)の報道特集が、日伯によるモザンビークのプロサバンナ事業について報道していた。ブラジルの自作農が土地を安易に売ったことで呆然自棄になっている様子や、モザンビークでは、ノルウェイの企業にユーカリを勝手に植えられてしまった女性が、政府に訴えたところ、実際上私有地化しているにもかかわらず、社会主義政権下のドクマ(土地の国有原則)を持ち出して否定されたりしている現実などが暴き出されていた。(TICADⅤが終わるのを待っての報道だと推測する。大局からの判断なのだろう。)

3月30日付ブログで、舩田クラーセンさやか先生の「日本の援助はいまアフリカで何をしているのか?プロサバンナ事業から考えるODA」について記した。モザンビークで進められている日本とブラジルのモザンビークの農業開発事業への批判が、いよいよマスコミにも取り上げられたのだ。JICAのアフリカ部長が、なんとも歯切れの悪いインタヴューに答えていた。この事業にはJICAが深く絡んでいる。

私は、JICAには大恩があるし、関係者との繋がりも多い。JICAが絡んでいるので微妙な立場なのだが、いくらJICAが絡んでいるからと言ってすべてが正義というわけではないと思っている。
最近のJICAはすでに外務省のODA部門に変質してしまった感がある。

JICAがこれまで必死に努力してきた「善意による遠回りの国益づくり」が、あの民主党の公開処刑のような事業仕分け以来、効率化という美名のもとに、結局外務省に吸収されてしまい、外務省の「直接的な国益追及」に飲み込まれているような気がするのだ。非常に残念である。

私は、アフリカに民間投資を行っていくことは間違っていないと思うし、TICADⅤのスタンスは時代の要請であると思っている。だが、そこに「護民官」的なアフリカの人々の本当の豊かさや幸せを願い、「企業利益」や「国益」より「国際貢献」に普遍的スタンスを置くことこそが、Win-Winの持続可能な開発を可能にすると思うし、それこそが遠回りかもしれないが真の国益になると思っている。JICAは舩田先生に代わって、モザンビークの護民官になるべきである。

アマルティア=センが「市場を飼いならす」という概念を提起したが、まさに今こそ重要なのではないか。市場原理を絶対のものと見てはなるまい。現に、株価や円は、禿鷹のような投資家にいいようにされているではないか。JICAには、日本の企業がBOPビジネスを展開する中で「企業利益」と「国際貢献」のバランスを常に取っていくことを期待したい。まずは、モザンビークのプロ・サバンナ事業から勇気ある撤退をすすことだ。

舩田先生のプロサバンナ事業批判のパワーポイントはWEBで公開中。是非ご覧いただきたい。
http://afriqclass.exblog.jp/m2013-02-01/

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