2013年2月21日木曜日

日経 稲森和夫氏の数字

今朝の日経の第二面「迫実」が面白かった。このところ、稲森和夫氏の話が載っている。稲森氏は私がよく行く京大のアフリカ地域研究資料センターの入っている建物を寄贈した人物であり、京セラ、KDDIの経営者としても有名である。このところの話は、JAL嫌い(ANA好き)の稲森氏が名誉会長に逡巡しながらも就任することになり、経営を立て直す話である。

稲森氏は就任後、全社の業務報告会を開く。各責任者に問題点をビシビシ指摘するので、担当者はかなりまいったらしい。80歳にもなる稲森氏が、A3版の細かな数字が並ぶ書類をなめるように見て指摘するのだ。現在のJAL社長である植木氏も、本部長時代かなり指摘された経験をもつ。「パイロットが使うヘッドセットの修理代は何故増えているのか?」この質問に答えられず辟易としたらしい。以後各責任者は何を聞かれても答えられるよう現場に入り、報告会に備えるようになったという。

稲森氏は約100社ある子会社の社長とも面談した。月月火水木金金。休日は関係なしで、朝から晩までぶっとうしだったそうだ。稲森氏曰く「細部を見なければ全体は見えない。」

さて、今日のエントリーの主題。植木氏はある時、稲森氏に質問したそうだ。「(A3版の書類の膨大な数字の列の中から)何故問題となる数字が見えるのですか?」稲森氏曰く「おかしなところは、向うから数字が目に飛び込んでくるんや。」

植木氏は34年のパイロット歴をもつ。コクピットに座ると、異常な数値は探さなくとも目に飛び込んでくるようになったことを思い出したという。経営も同じだ。そう思うのだが、まだまだ稲森氏の境地には達していないと言う。

…私もちょっと思い当たるフシがある。SHRを行う時、当然挨拶をするのだが、教壇に立つ前の数秒の間に生徒たちの様々な会話が耳に入るし、行動や顔色が見える。が、問題がある場合、その会話や顔が向うから飛び込んでくるのだ。ベテランというのは、そういうものかもしれない。

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