2010年12月23日木曜日

続・ノーベル平和賞欠席国問題

毎日新聞の『木語』(金子秀敏氏)に、”外交力で「大使は不在」”という記事が載っていた。バンコク在住のジャーナリスト鈴木真氏が、他の日本各紙の中国非難とは違う見解を示していたそうである。鈴木氏は、中国のボイコット外交を「東南アジア」という物さしで測っている。すると違う見方が出てくるのである。東南アジア(ASEAN)は、中国との自由貿易協定(FTA)が発行し、景気が良くなっている。経済的結びつきが、政治的対立を避ける方向性を生む。TPPは、FTAに出遅れた。日本はASEANと手を結び、中国と対抗すべきだというような議論は空論である、というのだ。先日(12月9日付ブログ参照)の『水説』に書かれていた、マレーシアの「中国異質論」とはまた違うASEAN論である。<今日の画像の記事を、是非拡大して一読願いたい。>

ところで、Miyaさんの『アフリカとニュースと解説』に、毎回感服するのであるが、今回も素晴らしい論が展開されている。12月20日付の「中国とナミビアの関係: 低利融資とインフラ整備」である。リンクしているので是非読んでみていただきたい。中国がアフリカに進出しているのは、13億の人口を抱えて必然かもしれないが、かなり強引な進出である。5000人のビザ発行と国際入札の否定は、いただけない。私もMiyaさんのコメント(記事の最下部のコメント参照)、「中国がアフリカ諸国で成功するかどうかは、その国の一部の政治家だけでなく、広く「国民」に受け入れられるかどうかだと思います。そのためには、雇用に貢献し、また、最低限でも労働者としての人権を守るべきだと思います。」に、私も大賛成である。いつも生徒に教えることだが、中国はアフリカで現地の人びとを全くといってよいほど雇用しない。中国は、先日も書いたように2つの文明を、すなわち2つの矛盾を同時に消化する国である。”途上国”と”大国”という2つの立場を、時には”ダサく”強力な外交戦に使う。思わず、うーん、と唸るのである。

さて、蛇足だが、マラウイに”レアアース”が出るらしい。「オーストラリアのレアアース(希土類)生産企業ライナス(Lynas Corporation)は22日、アフリカ南東部マラウイの「カンガンクンデ(Kangankunde)」鉱区を買収する承認をマラウイ政府から得たと発表した。買収額は400万ドル。西オーストラリア州に所有するマウント・ウェルド(Mount Weld)鉱山の次ぐ大規模なレアアース開発拠点になる見込みだ。」(WEBのニュースから)
あのほとんど産業らしい産業のないマラウイにとって、素晴らしいニュースではあるのだが、レントをめぐって天然資源の罠に陥らないように祈るのみである。マラウイ政府のグッド・ガバナンスに期待したい。

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