2010年12月5日日曜日

キリマンジャロの雪が消える

  先週は、期末試験をつくるのでアップアップだった。4教科が試験の初日・二日目に固まるというのは、かなり破壊的にきつかった。しかも放課後は毎日のように補習か会議でつまっていた。月曜日は、現代社会の例のアフリカ画像(11月16日付ブログ参照)を、入試の為見れなった生徒に見せるという補習(この土日に近畿大学を受験する生徒向け)、火曜日は私が幹事長をつとめる学校の忘年会の会議、水曜日は地理Aの日本人生徒向けの補習(12月1日付ブログ参照)、木曜日は一般生徒の質問会、金曜日も、アフリカ画像補習その2…。もちろん、国際交流部の仕事も山盛りだった。疲れ、睡眠不足、ストレス…。たくさん食べて、たくさん飲んだ。そういえば、後輩のI先生と毎日のように、近くのラーメン屋の前の灰皿を目指して散歩し、缶コーヒーを飲んだ。
 H鍼灸院にいったら、我がホームドクターから「絶対血糖値が上がっています。脈拍も早いし、足の傷も危険な状態です。」と珍しくお叱りをうけた。あちゃー。昨日今日と、アホほど寝て体力回復を図ったのだが、あまり疲れが取れないのは、久々に聞く「血糖値」という呪縛だったのだ。妻が、一言、「自己責任やな。」と言ったのだった。…怖い。

 さて、本題である。このようなブルーな状況の化で、今日は一冊の新書を紹介したい。岩波新書の『キリマンジャロの雪が消えていくーアフリカ環境報告』(石 弘之)である。このところ、アフリカの暗部だけでなく、未来への希望が語られるアフリカ本が多い中で、この本(昨年の9月が第1刷)は、徹底して、暗部をえぐるような本である。環境問題をテーマに書かれているが、それは同時にアフリカがかかえる様々な分野の問題へと関心を向けざるを得ないことになる。特に、人口問題は、様々な影響をアフリカに与えて行く。農村の疲弊、都市化とスラム、エネルギーとしての木材消費、可放牧と砂漠化、農業の変化…。
 そこそこアフリカの事情に詳しい私でさえ、読んでいて苦しくなるほどである。初めてこの本からアフリカにふれたら、投げ出すであろうと思えるほどの内容である。著者のプロフィールを見ると70歳にならんという年齢である。だからこそ、著者のアフリカへの愛情が痛いほど伝わる本でもある。なんとかしなければという熱い想いが、容赦ない記述になっている、誠に失礼な言い方になるかもしれないが、この本は石氏の「アフリカ留魂録」だと私は思う。

 アフリカに関わり、アフリカを愛し、アフリカへの想いを綴った、きびしくも温かいアフリカ本である。

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