2010年1月21日木曜日

市場を飼いならす



 3年生の授業を私は3科目教えている。倫理(3単位)、地理B(3単位)、地理演習(2単位)である。木曜日は、1限目が倫理、3限目が地理B、5限目が地理演習である。これらが全て、今仮想世界ゲームを行っている国語科対象の授業である。したがって、全て選択していると、1日3回私と顔を合わすことになる。そんな生徒が2人いる。すなわち地理演習も選択した生徒である。
 この教科は本来受験のための教科なのだが、私は、昨年度から徹底したアフリカ開発経済学講座にしている。今日はその最終日だった。テーマは、アマルティア=センの『市場を飼いならす』。飢饉がおこった時、どうするのがよいのか?2人に聞く。「それはすぐ食糧を配布するべきでしょう。」もしそういう政策をうったらどうなるか?経済学的にシミレーションする。「結局、近隣で生産された穀物の価格が下がり、波及するな。」「センの考えた政策は、次の飢餓を防ぐための農業用水路などの公共事業をやって賃金として、飢餓の人々に現金を渡すわけだ。」「その現金で食糧を買えというわけですか。」「市場というのは、儲かるなら動くものだ。」「みんな売りにきますね。近隣も儲かる。」「しかもインフラも整備されますねえ。」と、センを生徒は称賛した。
 授業の後半、仮想世界ゲームの話に移った。「N地域が6simで食糧チケットをS地域に売っていた。W地域は、農園主がたくさん開拓したので、供給量が多い。それで2simでE地域に売っていた。これをどうとらえるかな?」「…。」「その市場動きを知ったE地域の政党主が、W地域の食糧チケットを買い、S地域に売ったわけだ。」「ヒドイ!」「やるなあ。」「市場、ビジネスとはそういうものだ。もし、仮想世界ゲームが第20セクションくらいまで続けば、いろんな事が起こってもっと市場が動くだろうな。」「大学生のゲームなら凄いことになりそうですね。」「おもしろい!」「センは、この市場をうまく飼いならして、途上国の開発を進めるべきだと説いたわけだ。」「なるほど。」…地理演習は1年間こんな授業であった。
 ところで、この2人を含む地理Bの4人は、今は、仮想世界ゲームの進行係。40人の個人封筒の中の現金を数え、株や農園、食糧チケットなどを確認して集計し、次の授業に備えている。陰の立役者である。彼らがいなかったら絶対仮想世界ゲームはできなかった。文句も言わずもくもくと作業をこなしてくれる。ありがたい。こそっとブログで最大限の感謝の意を述べておきたい。君たちは最高だ!

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