2010年1月14日木曜日

仮想世界ゲームⅡ


 冬休みをはさんで、久しぶりに仮想世界ゲームを1時眼目にやりました。第3セクションの開始です。
 このゲームは、まず先進国をイメージしたN地域、W地域、開発途上国をイメージしたE地域、S地域の4地域に10名ずつ配置します。NとW地域には、最初に1人100sim(sim:仮想世界の通貨単位)が渡されます。また、それぞれの地域には企業主1名(生産を行うことが可能。企業が生産を行うことでこの仮想世界のマネーサプライが拡大します。)、農園主3名(彼らが主に食糧を生産します。最初は5人分ずつの食糧生産能力です。)がいます。一方、E・S地域は、最初に1人50simしか与えられません。この4つに地域には、政党主が1人ずついます。彼らは、地域間を自由に往来することが可能です。(その他は必ず2simの通行料が必要です)なお、個人農園は誰にでも開発できますが、60sim必要です。すなわち最初の設定から、途上地域のEとSの人々は、必ず先進地域の食糧を買う必要があるわけです。食糧(チケットになっています。)には、半券として労働チケットが付いています。この労働チケットを企業に買ってもらわねば、収入が断たれてしまいます。一方、先進地域では、余剰のお金を企業に投資(企業主は株券を発行します)し、企業は、労働チケット3枚+200simで、1生産単位という形で生産を行います。NとS地域の企業は互いに競争しあい、生産単位の多いほうが、利益率が良くなります。しかし、失業率が高かったり(労働チケットが売れなかったり)、飢餓(食糧チケットを手に入れられなかったり)したら、世界の治安が悪化し、テロ(もっとも現金の多い者が誘拐される)が起こります。ストライキや暴動を起こすことも可能です。また、企業活動が活発化し、農園が多く開発されると、環境問題がおこります。そのため、環境団体を設置することも可能で、基金を集め、この危機に対処することも可能です。
 以上、最も簡単に説明すると、このようなゲームです。本来は、大学で、4教室を使って、集中講義として行われるのですが、今回は、社会科教室の真ん中に進行係(私の地理Bを選択する4人)を置き、四隅に各地域を配置しました。高校では、時間割に従って、同じ部屋でやるしかありません。進行する上では、これがなかなか大変です。(進行係:地理Bの諸君の活躍については、いずれ改めて述べたいと思います。)
 第1セッションでは、暗中模索。結局企業が1生産単位ずつしか生産できず、第2セッション冒頭でテロが発生しました。と、いうのも途上地域Eは、政党主を中心に、所持金をプールし、個人農園を5つ開発しました。半分が食糧を得、半分が飢餓、これを繰り返すことで生き延びようという戦略です。(2回続けて飢餓になると失格、死亡します。)ルールの裏をかいたまさに究極の社会主義路線でした。一方、S地域は、テロを起こす相談をしていました。それを武器に、先進地域に恫喝外交。まるで、某国のようです。
 第2セッションは、少し慣れて、生産も上がりましたが、先進地域と途上地域の格差が広がり、途上地域の帰属意識の強さが目につきました。一方、先進地域には、実際に高校生のNPOに関わる生徒が政党主となり、先進地域と途上地域の融和を図ろうとしますが、なかなか難しい状況です。
 そして、今日の第3セクション。またもや、テロ発生。環境問題も40%の確率で起こる状況でした。(あわや世界全体で350simが必要でした。進行係のサイコロで回避されました。)また、各政党主から、政策=法案提案がなされました。E党からは、「先進地域は環境問題の全責任を負え」法案、S党からは「最低賃金」(保障)法案、N党からは「仮想世界でsim借用OK」法案、W党からは「持続可能な共生のため、企業価格(労働チケットの価格)カルテル」法案がだされました。結局、投票の結果2/3の得票を得た法案はなく全てが廃案になりました。政党主たちは次々回の法案提出に向け、「銀行をつくれないか」と相談していました。一方、N地域の企業主がインフルエンザで欠席(出席停止)。N地域は大混乱となり、その波及が他地域にも広がりました。終了間際に、私が「神の見える手」で、進行係を動かし、チケットを途上地域に販売させ、2生産単位を無理やり成立させました。やれやれ。
 明日は、センター試験前日。ゲームをストップし、これまでの「ふりかえり」をやることにしました。なにしろ、授業終了後、ほとんど全員クタクタでした。それだけ真剣に取り組んでくれているのだと思います。

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