2024年8月27日火曜日

「聖書の同盟」書評 続編1

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8月9日から11日にかけて、「聖書の同盟」(船津靖/KWADAE新書)の主にキリスト教シオニズムについての部分の書評を書いた。それ以後は、現代史的な論述であったので、少し置いておき、本格的な教材研究に時間を費やしていた。本日は、後半の現代史的な部分で興味深い、いくつかのエピソードについて記しておこうと思っている。

トルーマン以降、イスラエル支援を主導する政党は共和党に移行していく。トルーマンの跡を継いだアイゼンハワーは共和党だが、イスラエルには冷たく、第二次中東戦争(スエズ動乱)では、イスラエル軍にシナイ半島からの撤退を求め、有無を言わせず従わせている。イスラエルからの兵器提供の要請にも応じていない。人気の高い、ノルマンディ上陸作戦の英雄には、ユダヤ系の選挙資金は必要がなかった故であるらしい。

…同時に、元軍人ながら、退任演説で「軍産複合体」を批判したアイゼンハワーらしいスタンスであると私は感じた。演説の和訳もあった。以下のURL参照。http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/Eisenhowers_Farewell_Address_to_the_Nation_January_17_1961.htm

次のケネディは、イスラエルの核開発をやめさせようと査察官の受け入れを強く迫ったが、時間稼ぎをされている間に暗殺されてしまい、結局イスラエルの核開発は秘密裏に進んでいく。

副大統領から昇格したジョンソン時に、第三次中東戦争が起こる。この時、イスラエルはかなり領土を拡大するが、ヨルダン支配下だった東エルサレム(神殿の丘を含む)を西エルサレムに併合しているのだが、ジョンソンの働きかけで、国連安保決議はイスラエル国家の生存権を認め、占領地撤退を必ずしも求めないと解釈できる決議文となった。第三次中東戦争の勝利は、福音派を歓喜させ、高学歴が多い主流派(メインライン)から馬鹿にされてきたれど、自分たちの神学(=聖書の内容を文字道理受け取る)はまちがっていないという自信を与え、影響力を強めるとともに、南部の白人保守層が共和党の支持層となっていく。ベトナム戦争の最中で理想を夢見る若い男女を苦々しく思っていた彼らを「サイレントマジョリティ」(声なき大多数・物言わぬ一般大衆)という表現を有名にしたのは、次の大統領になるニクソンである。当時の民主党期待の候補は、JFKの弟、ロバート・ケネディであったが、エレサレム生まれのパレスチナ人系のあアメリカ人青年に射殺された。

…本書では、アメリカとイスラエルという固定的な視点で現代史が語られていく。かなり詳細で興味深い。ところで、サイレントマジョリティのところで出てきたベトナム戦争時の若者のヒッピー文化を南部の福音派はかなり嫌っていたようだ。何と言っても思い出すのは、映画イージー・ライダー(画像参照)である。ラストシーンは、髪の毛が長いというだけで射殺されるのだが。初めて、アメリカをレンタカーで旅した時(サウスダコタ州~ワイオミング州)、車内で流していたのが、この映画の主題歌・ステッペンウルフの”Born to be Wild”である。高校時代から馴染みの深い映画でなんとも理不尽なラストに衝撃を受けたものだが…。さて、ロバート・ケネディは、ワシントンDCのアーリントン墓地で兄とともに葬られており、私も墓参した経験がある。これらも全てアメリカの実相である。…つづく。

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