2015年6月3日水曜日

日経 経済教室「疲韓」の背景

韓国のGDP成長率 http://kankoku-keizai.jp/blog-entry-26454.html
日経の経済教室、今日は「国交正常化50年日韓の未来」というテーマて、神戸大の木村幹教授の論文が載っていた。私は、地球市民であることをスタンスにしており、当然反ナショナリズムの立場なのだが、メデイアが時々「韓国疲れ」という語彙で表現する反日外交には、思わずため息をついてしまうこともある。この論文では、その韓国外交の背景について書かれていて、なかなか勉強になった。モーニングで読んだ後改めて日経を買い求めたくらいである。備忘録的に少し紹介しておきたい。論文の要旨はおよそ次のようなものである。

6月23日が日韓基本条約が締結されて50年になる。最近の日韓関係の関係悪化だけが問題なのではない、より重要なのはこの条約によって打ち建てられた「日韓基本条約体制」に対する両国の理解が全く異なることだと、木村氏は論じられている。

日本では従軍慰安婦問題などをはじめとする日韓間の植民地支配の「過去」を巡る問題は少なくとも「法的」にはすべてが解決済みとされている。それに対し韓国ではこの見方は共有されていない。より具体的には従軍慰安婦、原爆韓国人被害者、サハリン残留人問題の3点については日韓基本条約締結過程では念頭に置かれていなかった、らち外にあるという立場なのである。

80年代までの韓国政府はこれらを解決済みという立場をとっていた。韓国政府に変化が見られるのは92年以降である。この「安定」を崩した原因は何か?それは、韓国の日本依存度が大幅に交代したことにある。50年前条約締結時の韓国の1人あたりGDPは$100にも満たない途上国であり、経常収支も大幅な赤字であった。北朝鮮との分断下、建材的にも軍事的にも日本の協力なしには国家を維持することさえ困難だった。故に、国交正常化交渉の過程でも、自らの要求水準を大幅に下げなければならなかったのである。この基本条約は当時の非対称な日韓関係不本意にも押し付けられたもので、当初から不満を抱えていた。にもかかわらず、その後80年代までこの体制に甘んじていた理由は、この非対称的な関係がしばらく継続していたからにほかならない。

今日の状況の背後には、かつての垂直的な関係にあった日韓関係が、国際環境の変化と韓国自身の経済成長により水平的な関係に移行しつつあるからである。日本の1人あたりのGDPは現在世界27位。韓国は31位である。両国の軍事費を巡る状況は韓国がGDP3%弱。日本は1%で固定されている。GDPの格差が1対3以下に縮小すれば、韓国が意図的に軍事費の割合を下げない場合、金額ペースで日本を上回ることになる。両国の人口比は現在1対3より接近しているから、「その日」は韓国の1人あたりGDPが我が国を上回る前に訪れる。

重要なのは、我々が、こうした前提で韓国との関係を考えることができないことである。強大化する中国に加えて、「大きくなった韓国」をいたずらに敵に回すことは控え目に言って得策ではない。

…この論文のタイトルは、「水平的関係踏まえ対応を」となっている。なるほど、こういう見方があったのかと私は膝をうったのだ。要するに韓国が言いたいことが言える状況になったから、というわけだ。こういうことって、我々の日々の人間関係においてもあると思うのだ。

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