2015年6月27日土曜日

現代アフリカ経済論 学習ノート8

世界全体で見てもアフリカの経済成長率はなかなかのもの
http://sky.geocities.jp/to9sen/0-00-nyua03.html
久しぶりに「現代アフリカ経済論」(北川勝彦・高橋基樹著・ミネルヴァ書房/昨年10月15日発行)で学んだ内容のエントリー第8回。第4章は、「アフリカ経済の現状とその質」について述べられている。なにより、この書の素晴らしさは、豊富な最新資料なのだが、章の最初に描かれた概説がすばらしい。私は、これまで多くのアフリカ経済の本を読んできたが、おそらく最もコンパクトにアフリカの経済について要旨をまとめた一文だと思う。そのままエントリーしておきたい。

アフリカ諸国の経済は、近年大きく変化している。北アフリカ諸国と南アフリカに生産が偏っているという特徴は変わらないものの、高度に成長する国が現れ、21世紀には多くの国で成長率が人口増加率を上回るようになり、アフリカ全体としても経済成長率が向上した。ただ、各国の間のの格差は拡大し、国内的にも不平等があり、絶対的な貧困は減少しつつも広く残っている。そして多くの国で人間開発が置き去りにされている。アフリカにおける経済成長率の上昇の要因のひとつは、新興国経済の発展を主因とする国際市場の需要に応えた鉱業生産の拡大である。一部の国では鉱業が経済全体に占める比率が急速に拡大している。その反対に、多くの国では製造業の成長率は相対的に低く、その比率は停滞・縮小している。産業全体に占める農業の構成比はゆるやかに縮小しているが、1990年代に比べればその成長率は改善し、広範な国での経済成長率の上昇を支えている。このような成長率の改善にもかかわらず、アフリカ全体の農業の生産性は世界的には低く、上昇の程度も小さい。またアフリカの農業には地域的な大きな違いがあり、大規模な商業農家が主体の南部アフリカと自給的な小規模農家が主体の東アフリカでは、土地生産性の推移にも大きな違いがある。鉱業の雇用吸収力も低く、しばしば生産の拡大の効果は広い範囲の人々には及ばない。アフリカでは、多くの人々がインフォーマルな経済活動に従事し、あるいは失業・半失業の状態にある。鉱産物・農産物への依存を脱却するためには、教育・保健医療、インフラストラクチャーの整備など政府の役割に期待されるところは大きいが、国民との間に希薄な経済関係しかもたないという政府のあり方は本質的には変わっていない。

なお、各国の2000年から2010年のGDPの平均成長率(全体の平均は4.7%)と人口増加率を比べた資料がある。興味深い資料だ。55カ国のうち、人口増加率より低い国は、10カ国にすぎない。これらの国とGDP成長率は以下のとおり。
ギニアビサウ(1.3%)、コートジボワール(1.1%)、リベリア(1.0%)、中央アフリカ(0.9%)、エリトリア(0.9%)、コモロ(2.0%)、ソマリア(統計なし)、南スーダン(統計なし)、ジンバブエ(-4.7%)、マダガスカル(2.6%)。だいたいが、国内の混乱が指摘される国が多い。極めてガバナンスの影響が大きいわけだ。

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