2012年11月3日土曜日

ガーナの海水淡水化事業

ガーナのヤムイモ市場
WEBニュースによると、日本とスペインの企業が、ガーナの首都アクラで海水を淡水化するプラントを立ち上げることになった。昔、知人がオマーンで同様のプロジェクトに関わっていて長期出張していたこともある。海水を淡水に変え利用すると言う、地味だが重要なプロジェクトである。

このプロジェクト、アフリカ初らしい。アクラの水事情は都市化で逼迫しているという。こういうプロジェクト、そのうちダカールなど海岸部にある都市にも拡がるだろうと思う。安全な水が供給されていくことは喜ばしいことだし、日本の技術力が役にたっていくことも嬉しい。

さて、この記事を読んでいて気になったのが資金面の話である。「世銀グループの多国籍間保証機関(MIGA)の非常危険保険」を利用したとある。少し調べてみた。この多国籍間保証機関というのは、国連の機関でワシントンDCの世銀・IMFビル内に本部がある。国際復興開発銀行や国際開発協会、国際金融公社、国際紛争解決センターといった組織と共に世銀グループを形成しているという。なんか行革で指摘された特殊法人みたいな印象をもつが、なんと代々長官は、宮沢喜一氏の肝いりで日本人が勤めている。ガバナンスが悪かったり、内戦など治安の悪化によるリスクに対する保障を投資家やドナーに提供し、途上国への投資を促進するのがこの機関の役割だと言う。一方、途上国側からは投資のための情報(経営状況・財務状況・業績動向など)を提供(インベスター・リレーションズ)することを促進しているらしい。なるほど。

そのMIGAの非常危険保険を利用したというわけで、おそらくアクラやガーナ政府の資金繰りはかなり厳しいが、50万人分の飲料水を確保する淡水化施設は絶対必要だということなのだろう。アフリカでの重要な実験的な取り組みであることが推測される。

ところで、「ESDのための仮想世界ゲーム(高校生版)2012」では、先進国がODAや、緊急援助、投資などを行うと「持続可能な開発ポイント」というのを獲得する仕組みになっている。先進国はこのポイントでゲームの勝敗が決まるのであるが、今回私は、投資のポイントを最も高くした。途上国へのODA援助には、メリットだけでなくデメリットがあると批判が集まっている今の開発経済学の流れをゲームの構成に反映したつもりだ。

多少リスクがあっても投資を通じで途上国に国際支援することが重要だと思う。だからこそ、このプロジェクトの成功を祈りたいし、MIGAの活躍も期待したいところだ。
http://jp.ibtimes.com/articles/36837/20121101/1351773654.htm

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