2012年11月27日火曜日

日経 今回の総選挙の構造

3年生で、政経で難関私大を受験したいといっている生徒が2人いる。冬休みに補習する約束をしているのだが、彼らが言うには、現実の政治経済に即して語って欲しいとのこと。今朝の日経の経済教室は絶好の教材だったので、モーニングで読んだ後、わざわざローソンで買い求め、コピーして手渡した。

タイトルは「総選挙 混迷政治の打破なるか 政権の事後評価で判断を」という平野治学習院大学教授の論文である。平野先生は政治行動論が専門。面白い視点だった。論の要旨は以下の通りである。

まず「有効政党数」という指標である。議席を持つ政党の数と大きさの両方が反映されるもので、ある国がだいたい何党制であるかが判断する際に便利なものである。09年の日本では小選挙区では2を割っている。比例代表では3。全議席では辛うじて2を超える状態である。

さて、今日の日本のような民俗、宗教、階級など社会の中に構造化された利害の亀裂がない社会において二大政党間での政権交代システムを機能させるには、政権に対する「業績評価」に基づく「合意争点型政治」が望ましい。この事後評価に基づく政治は与党が一体として有権者の評価を受ける覚悟が必要である。これがないと説明責任が確保されない。今回民主党議員が選挙前に離党したが、説明責任の観点から認め難い行動であると言わざるを得ない。

離党し新党を旗揚げしても、前述の有効政党数にあるように小政党の生き残りは難しい。新党間で連携や合併が模索されることになる。そこでは生き残りが目標となり政策的なすり合わせは二の次になりやすい。

歴史的な経緯から、日本の場合、都市部の大企業(すなわち市場での強者)と農業や中小自営業(すなわち再配分に依存するセクター)の双方から支持を得た自民党政権が長期化した。前者には政治経済的な体制の維持を保障し、後者には前者から吸収した資源を再配分した。

経済のグローバル化や少子化により、政治的に配分可能な資源が逼迫し、市場強者と再配分依存セクターとの対立が顕在化している。社会保障と税の一体改革、TPPへの参加、原発の是非を含むエネルギー問題などは、いずれも経済・社会的なコストと便益の問題で、政治的対立軸として前面に出てきた。

これらはいずれも限られたパイを奪い合うゼロサム的様相を呈してきているので、明確な政策的立場を打ちだすにはリスクが大きい。こうした改革は重要だが、短期間に成し遂げることがいかに困難かは民主党政権が身をもって示したとおりである。

と、高校生にはなかなか高度な教材だが、まずは読んでみてわからんトコロを質問に来るように言っておいたのだった。おそらく、何がわからないのか、わからないかもしれない。(笑)

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