2012年9月26日水曜日

ヘーゲルの歴史哲学を見直す

世界史Bは、ナポレオンから七月革命、二月革命と進んでいる。前任校では、長いこと倫理や地理Bばかりやっていたので、この辺の世界史の範囲は社会科教師を30年以上やっているが、恥ずかしながら初めて教えている。近代国家論や経済史的にも帝国主義論、社会主義思想などなかなか教えていて面白い内容が多いのだ。

ナポレオンによって、ある意味フランス革命の成果をヨーロッパに拡大したが、彼の失脚後は一時的にウィーン体制で反動化する。しかし、七月革命、二月革命とフランスで起こる二度の市民革命によって、本格的にヨーロッパに民主主義が飛び火する。現在のアラブの春みたいなもんだ。歴史を学ぶ意義はこんなところにもあるわけだ。

この辺を生徒に理解させるには、アンシャンレジームのような三角形の階層の図が有効だと思う。参政権の拡大が、時代を経るに従って上から徐々に進むのである。この辺の説明にはヘーゲルの歴史哲学が、やはりよく当てはまる。(この当時の理論だから当然であるが…。)

たまたま、マルクスの科学的社会主義を高校生に分かるように先に教えていた。マルクスを語るには、唯物史観と剰余価値説ははずせない。唯物史観を教えるには、ヘーゲルの弁証法は必須であるが、唯物史観の「経済」が発展すれば、正・反・合という矛盾をキーワードに歴史が発展するというのは、世界史を勉強してきた生徒にはわりと理解しやすい。

それに対して本家・ヘーゲルは、絶対精神が自由を求めて世界が発展すると説く。実はこのほうが理解が難しいと思うのだ。だが、この辺の歴史をやる前に説けば、オリエント世界の王のように1人だけ自由な世界が、封建世界で王と貴族たち少数の自由に発展し、さらに市民革命で徐々に自由な人口が増えていくと語れば、なるほどという事になるのだ。

倫理とは弁証法の説明が逆転してしまうのだが、あえて教えてみたら、皆納得してくれた。今年はとりあえず、こういう感じで教えてみた。ヘーゲルの絶対精神など、カントから続くフィヒテ、シェリングのドイツ観念論をやらねば理解できないので説明なし。もし、本気で教えたらきっと生徒は大混乱するだろうなあ。(笑)

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