2012年5月29日火曜日

国会原発事故調とニヒリズム

Oliver Cromwell
このところ、国会原発事故調査委員会が開かれ、3.11当時の菅内閣の関係者の参考人招致が行われている。要するに、一国の想定外の危機にあたって、全く経験不足の政治家が対応しきれなかったという話だった。政治に対するニヒリズム(ここでは、ニーチェのキリスト教否定という意味ではなく日本的な解釈の虚無主義的な意味としたい。)ここに極まれりという感じなのだ。

私は、中選挙区制が小選挙区制に変わった時、金権選挙や族支配、派閥政治などのデメリットを払拭するものと考えた。たしかに、選挙費用は地域が狭くなった分、減少したと思うし、自民党の派閥力学が大きく変化した。派閥のボスが選挙費用と役職で子分を増やし、自民党総裁をめざすというベクトルは消え去った。だが、一方で陣傘(新人)から常任委員会の理事、自民党政治調査会部会の理事、各省の政務次官(今の副大臣)などを経験して、一歩一歩各省庁の政策を学び、人脈を広げるといった政治家の「学び」も無くなった。これらをバックアップしてくれる派閥が無くなり、小選挙区の候補となるのは党の中枢の覚えがめでたくなければいけなくなり、無難な発言を繰り返すことになる。自民党でさえ、こんな状況になった。政治家が力がないと批判されるようになったわけだ。民主党の方は、そういう「学び」なしに、野党から一気に政権をとったわけである。言わずもがなであろう。

こうして冷静に見てみると、私は小選挙区制のデメリットは、メリットより大きいのではないかと思うのである。政治家は政治家なりの「学び」がある。たしかに多くの問題はあるが、ここまで政治家の信用がなくなったのは、小選挙区制の弊害であると言えないだろうか。ましてや、首相公選制度をや。知名度のある素人が首相になるような制度は危険だ。

今、クロムウェルの教材研究をしているのだが、鉄騎隊で議会派を勝利に導いた、その熱狂を独裁政権に変え、彼が行ったのはアイルランドの征服である。ピューリタン的な独善主義(今ならナショナリズムかな。)は極めて危険である。

もういちど中選挙区制にもどして、切磋琢磨して本格的な政治家を育てることのほうが、はるかに現実的な道のような気がするのだが…。

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