2011年11月11日金曜日

「世界130カ国自転車旅行」

「世界130カ国自転車旅行」(文春文庫 中西大輔著11月20日発行)を読んだ。このところ読書が進む。ようやく気候的にも秋なのだなあと思うのである。この本は、なんと2日間で読破である。まあ、薄い文庫本であるからだが、こういう気楽に読める本もいい。中西氏は、11年3か月かけて世界を2周した人だ。こういう紀行文は、時間を軸に空間を描くというカタチで書かれていくことが多いのだが、あまりの長旅故か、いくつかのキーワードでくくって記述されている。
第1章は、世界へ出る前の自分史である。岡崎氏の飾り気のない人柄が理解できる。11年も自転車で回っていたというと、かなり変わった人間のようにみえるが、フツーの謙虚で忍耐強い人なのだった。
第2章は、意外なキーワード「警察」である。案外、警察は自転車旅行者にやさしいという話が主である。これは意外。途上国はガバナンスが一応に悪いが、その代表的な存在が警察と軍である。ところが、岡崎氏の感覚では南米を中心に非常によい。不思議な話だった。
第3章は、「自転車旅の魅力」と題され、自転車旅ならではの話が書かれている。風の影響を大いに受けて、上り坂なのに自転車が止まらないといった考えられない話もでてくる。なかなか面白い。
第4章は、様々な親切に出会った話が主である。特に南米、チリとウルグアイの話は俊逸である。岡崎氏はここで長く居候することになるのだ。これだけで1冊の紀行文ができるだろう。一方、北欧では、極めて冷たいという感覚を持ったようだ。カトリック的ないいかげんさとゆとり。プロテスタント的な合理性と冷たさみたいなものを感じる。私は、北欧も南米も行った事がないが…。
第5章は、「自転車旅の事件簿」と題して、野生生物との関わりやマラリア、ナミビアでの転倒などと共に、ルーマニアでのロマ(ジプシー)の家で盗難に逢う話など、なかなか面白い。
さらに、第6章以降も有名人と会った話や、恋の話など、最後まで、岡崎氏の人柄が素直に出ている。

自転車で、世界を回るというのは、たしかに冒険だ。北海道でも多くのミツバチ族(バイクで旅する人々)よりも、自転車で回る人のほうが、やっぱり凄いと、いつも車で回る私は思う。苦労の度合いの問題である。だからこそ、世界中の人々に尊敬され、親切にされるのだろう。特に日本の裏側の南米では…。

ところで、ナミビアのナミブ砂漠の近く、長い坂道で岡崎氏は転倒するのだが、私も砂漠の近くで死にかけたことがある。アメリカのアリゾナ州。ユマというメキシコ国境に近い街から、R8を西へ向かっていた。砂丘があったので、レンタカーを停めてちょっと一休み。写真をとって、さあ、行こうと四車線のハイウェイR8上の橋となっている車道に進んだ時だった。砂丘の砂が車道にあったのだろう。激しいスピンをした。360度のスピン。R8の真上である。レンタカーも傷つかず、無事だったのだが、もしR8に落下していれば、今頃ブログなど書けていないだろうと思う。車でさえ、イロイロあるのだから、自転車ならなおさらである。うん、うん。

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