2011年11月9日水曜日

毎日と朝日のハシズム批判

このところ日経と朝日と毎日の3新聞を読み比べする日々が続いている。ちょっと贅沢だ。日経はモーニングで、朝日は学校で、毎日は自宅で、である。いよいよ大阪知事選告示とあって、朝日と毎日で、かの大阪の教育を破壊する教育条例関係の記事があった。

朝日の方は、校長公募への批判であった。そもそも、校長や教頭になりたいという教員が減少していること。中には一般教員への格下げを希望する教員が増加していること。それだけ教育現場が締め付けられ、管理職になることに魅力がないこと。精神的・肉体的負担が大きいこと。そんな中で、府で校長公募制を実施してみたが、ふさわしい応募者は極めて少ないこと。今回の教育条例が、いかに思いつき的で、単に聞こえが良いだけのモノであること。見事に論理的に条例案のイカサマを暴いていた。

毎日の方は、『異論・反論』というコラムで、雨宮処凛という作家が、『ハジズムで誰が得をする?』と題して論じている。少し、引用してみる。
「大阪都構想。教育基本条例。既得権益バッシング。H氏の主張は極めて明確だ。諸悪の根源はここだ!と敵を名指しし、そこさえ突破すればバラ色の未来が待っているような錯覚を与える。これまで、市や府の職員などが槍玉にあげられてきた。そうして現在、大阪維新の会が提案する教育基本条例は、”勝ち組じゃない先生/子ども”にターゲットを絞っているように見える。様々な問題点が指摘されているこの条例だが、やはり特筆したいのは、”知事が設定した教育目標を達成しない教育委員は罷免””3年連続定員割れの府立高校は統廃合””2年連続最低評価の教員は分限処分”辺りだろう。ここに貫かれているのは競争原理だ。(中略)おそらく成績下位の生徒たちは切り捨てられる。最低評価を受けたら処分されるのだから先生だって必死だ。一方で目先の評価を気にする先生ばかりになれば、生徒や保護者の人気取りに走る状況も生まれるだろう。”あの先生、恐くて大嫌いだったけど、実はすごく大事なことを教えてくれたな”と数年後に気付くような先生は過去のものになっていくのかもしれない。」

全くそのとおりである。この教育条例は、大阪の教育を破壊するもの以外の何物でもない。彼女の結論をさらに引用する。

「H氏の手法は、ファシズムにかけて”ハシズム”といわれている。次々と敵を名指しするやり方には爽快感を覚える人もいるかもしれない。公務員などH氏が既得権と名指す人とそれ以外の人が対立したところで、結果的に得をするのは誰だろう。少なくとも、あなたではないはずだ。社会は決して一発逆転では変わらない。長い閉塞の中、多くの人の鬱屈を一時的に晴らしてくれるハジズムに、何かこの社会の病理を見る思いがする。」

全く、全くそのとうりである。このままでは、大阪の教育に希望を抱く教員志望の学生も、講師としてふんばる若手も、遅くまで学力保障に頑張る教師も、部活動で365日生徒と共戦する顧問も、学校に最後まで残って戸締りをする教頭も、自分の教育観を語る、たたき上げの校長も、みんな毒草と刈り取られてしまう。ハシズムの後には、ペンペン草のような教員しか残らない。10年後、20年後が心配だ。大阪府民、大阪市民の良識を信じたい。

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