2010年6月24日木曜日

剰余価値は教師にも該当するか


 ガーナが決勝トーナメントに進めてメデタイ。私の体調も薬が減って快調な1日であった。さて、現代社会の授業では、このところ経済の基礎として、経済学説をひとまとめしている。商業資本、産業資本、金融資本の話から、古典派経済学、ケインズの修正資本主義、新自由主義、それに一応教養としての社会主義…。前回の授業では、唯物史観の話をしていた。今日は、剰余価値説である。<と言うわけで、今日の画像はカール・マルクスさんの登場である。>前回の授業の最後に、私はアメリカのいろんな州のカープレート・コレクションを社会科準備室から持ってきた。私の宝物である。アリゾナ、ノースカロライナ、サウスダコタ、デラウェア、そいてアイオワなどの色とりどりのカープレートに生徒は盛り上がる。このプレートをセリにかけてみる。中には「3000円!」という声もかかった。「素敵だけどお金を出す気はない。」という生徒もいた。そう、それでいいのだ。商品の価格は、価値なのである。人によって価値観は異なる。まあいい具合で価格が決定するわけだ。これが、高校生に、剰余価値説を教え、理解させるコツである。
 では…と、ラーメン屋をやるとしよう。オーナーは誰にしようか?君。(ちょっとハーバード大学みたいである。)誰を店長にする?彼。いいねえ。アルバイトを雇おう。誰が良い?彼。いいねえ。といった調子で、説明を加える。さて、ラーメン屋をする資本としてオーナーに500万円ほど出してもらおう。店長には道具屋筋に行っていろいろ買ってきてもらおう。鉢やスープ鍋…。麺はどうする?ストレート麺ね。と、いるものを黒板に書きだしていく。Gは最初に投じたお金だ。Wは商品。さて、ラーメン1杯いくらにする?「750円」の声に、「高い!」との声。あわてて600円に下がった。(笑)さて、この麺、スープ、鉢、これらをなにもしないままでおくと価値はあるかな?600円で買うかな?皆、いらないという。では、ラーメン一丁!として出てきてこその600円だな。全員頷く。GからWになる間に価値が生まれたよね。みんな頷く。誰が価値を作ったのだろう?「店長」の声。G’は売上だ。WとG’は等しい。G’-Gが剰余価値だが、要するにに儲けである。この儲けは誰が生んだのだろう。もう皆わかっている。店長とアルバイトだ。付加価値をつけたのだからラーメンが600円の価値になったのだ。では、この儲けは誰のもの?オーナーのものである。店長やアルバイトには入らない。だって、600円の中に人件費も入っているのだから。これをなんというか?さすが、国語科である。『搾取』という語彙を簡単に答えてくれる。そして、話はマルクスの人間観に持っていく。マルクスは労働こそが人間性を最も発揮できると考えたが、反対に労働が人間性を『疎外』していることを説いていく…。

 ちょっと長くなったが、今日の授業はこんな感じだった。さて、今日は来年6月に教育実習にくるOGが面接にやってきた。K大学政策創造学部の3回生。2年生の時は私が担任だった。来年は日本史を教えたいと言う。たまたま今年は私が教科主任になので面接担当だ。いろいろ話を聞いていると、政策創造学部に進学した理由は、私の地球市民への熱意だったらしい。今、アジアの開発について研究しているという。嬉しい。無茶苦茶嬉しい。教師として、人間性を実現できた瞬間でもある。マルクス氏のいう『疎外』は、教師という職業にはあてはまらないのだろうか?
 …私は教師こそが生徒にとっての最大の教育環境だと信じている。そう信じ実践する”一念”(5月27日付ブログ参照)が人間性の実現の鍵を握っていると思う。
 私は大阪市の教員であり、私企業ではないので剰余価値説はあてはまらないように思うが、少なくとも私の労働は給与以上の労働なのだろうか?
 …私は給与以上の労働をしていたいと思っている。それが、教師の矜持である。だからこそ人間性を実現出来るのだ、と信じたい。
 今日は、久々にOGに会い嬉しい話を聞いたのと体調が良いので”美学”に色どられたブログになってしまった。ちょっと恥ずかしい。

2 件のコメント:

  1. ガーナ2次リーグ進出おめでとうございます。
    日本もやりましたね!
    興奮の朝でした。

    先生の剰余価値のお話、大学でも学びましたが、
    先生のほうが数千倍分かりやすかったです。
    ちなみに私が学んだときは、『たこ焼き屋』の例でした(笑

    剰余価値を学んだとき、ちょうど大学1年生でアルバイトを始めて3・4ヶ月。
    ちょっと辞めたいな~ なんて思っていたところでした。
    だけど、こうやって、G’-Gをつなぐ仕事をして、少なくとも自分の時給以上に価値を生み出してるんだから、もうちょっと頑張ってみようかな~なんて思ったものでした。

    その後学んだ、剰余労働時間で、私の8時間のアルバイトのうち4時間は剰余労働なのか・・・と、しょんぼりしたりもしましたが。笑

    先生の授業受けてみたかったです。

    返信削除
  2. この剰余価値説、ホントはもっと難解のやが…。まあ企業としては、これをいくらか拡大再生産のために使うので、全部が全部悪とはいえないところもあるし…。まあマルクスのこういう考え方もあるでくらいにしか、いつも教えていない。

    返信削除