2023年8月1日火曜日

哲学マップを読む。4

哲学的思考図式Ⅲはいうまでもなく、カントである。カントの哲学は、諸物や宇宙の存在を前提とした上で、それをどうやって認識するのか探るのではなく、およそこれらの存在者が存在者として成立するための条件を探る哲学となった。これを「超越論的哲学」と呼ぶ。あえて、カントの先天的認識形式については触れないが、こういう視点ははじめって知った。高校倫理では、大陸合理論とイギリス経験論を批判して、認識論としてまとめたという理解で十分だと思う。面白いと思ったのは、カント以後のドイツ観念論の記述である。

カントにおいては、人間の活動分野ごとに異なった原理が機能する。純粋理性批判における対象の認識には、感性と悟性、実践理性批判における倫理的実践においては実践理性、判断力批判においての美的判断は感性によって起動する理性が無限を把握し、それを埋めていく想像力(構想力)が終着点を見いだせない時に「崇高」が経験されると行った具合である。コンピュータの例を著者は引いて、ワープロソフトやインターネット閲覧ソフトは与えられても、OSのないコンピュータのような状態だと言っている。これを批判する形で、フィヒテは、そのOSを絶対的自我としたし、シェリングは「客観」に求めたというわけだ。この例え話は実にうまいと思う。

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