2022年9月23日金曜日

世界のの現状とSDGs考

https://news.yahoo.co.jp/articles/2b781c8a8cf04d13b831a52b4692720fa87bf68a
2015年にSDGsが世界のアジェンダとなってから早7年。私自身は国際理解教育の徒であるので。SDGsは重要なアジェンダだと今も思っているのだが、現実の世界を鑑みるに、かなり絵に描いた餅になってきたという感は拭えない。

MDGsは開発途上国に向けてのアジェンダで、その有効性はかなりあったと思う。実際絶対貧困は少なくなったし、女性の地位も向上したように国連統計では見受けられる。ただ、途上国での統計なので、開発独裁下の政府も多く、中国同様、適当な数字である可能性は否定出来ないのがつらいところだ。とはいえ、世界は少なくともいい方向に向いているといえる。「沈黙の艦隊」という漫画の中で、国連の事務総長と大滝の会話の中で「国連は傷ついた巨像だ。だが、長い鼻で進むべき方向だけは示せる。」という趣旨の言を吐かれるのだが、まさにそういう感じ。SDGsもまた象の鼻であるといった方がいい。

WWⅡ後の世界を決定づけたのは、チャーチルとF・ルーズベルト。大西洋憲章の中で、自由貿易を基軸にした世界を描いた。保護貿易がWWⅡを招いたという反省からであり、これは正しい選択であったかもしれない。自由貿易によるつながりで戦争を回避するという戦略は、冷戦後かなり意味を持った。今も米中の対立がいくらあったとしても軍事衝突に至らないのはそういう側面が大きい。まあロシアが、この原理原則をぶっ飛ばしたが…。

ところで、自由貿易を途上国から見ると、先進国は途上国に関税をかけず輸入してあげるという”パートナーシップ”を誇るが、先進国からの輸入にも関税を求めない。これは、SDGsにある産業セクター育成等(ゴール8にいろいろなターゲットが書かれている。)を反対に阻害している。事実上、先進国は原料を安価に手に入れ、先進国の工業製品を売りつけやすくしているにすぎない。これでは代価工業の発展さえ望めない。マレーシアのような中進国は、安価な労働力を元手にサプライチェーンとして先進国に尽くしている。まあ、スキル・アップにつながるので、まだ希望が持てるが、アフリカなどでは、自由貿易で、”はしごを外された”も同然であると私などは感じている。自由貿易の功罪というか、構造的暴力というか…。最近SDGsを語りながらもそういうジレンマがある。

ウクライナ紛争による全世界的な、エネルギーと食料のコストプッシュインフレとコロナ禍以来の不況が、グローバリゼーションと新自由主義と合体して、先の見えないスタグフレーションに沈んでいる。先日、アメリカのFRBがさらに0.75%の政策金利の利上げを発表した。アメリカの失業率は3%ほどで、不況対策よりインフレ対策(物価上昇率は8%という数字らしい。)、11月の中間選挙優先というわけだ。お陰で、隣国はデフォルトの危機に陥っている。日本も円安だが、外貨準備高、ありあまるほどの米国債がストックされており慌てる必要はないのだが、世界の基軸通貨のドルも好き勝手にやってくれている。ニューヨークで採択されたSDGsの「No one left behind.」(誰ひとり取り残さない)の精神はどこにあるのやら…。

0 件のコメント:

コメントを投稿