2022年9月18日日曜日

日本最強の政治家は誰か。

ある生徒の法学部推薦入試での口頭試問を考えていて、日本の最強の政治家は誰かという質問が浮かんだ。この生徒が日本史を履修しているので日本にしたのだが、まあ、世界最強なら答えは簡単。私はビスマルクを推す。だが、日本史上となるとちょっと難しい。一応戦前・戦後で2人考えてみてはどうかとメールした。

そんなわけで、私自身も考えてみようと思う。戦前ならば、やはり大久保利通かな。列強の植民地化を防ぐための富国強兵、その富国(=殖産興業)を開発独裁の手法で成し遂げようと、レールを引いたのは大久保であり、大久保がいなかったら今の日本は無いだろうと思う。伊藤も功績は大きいが、大久保や輝度から見れば二線級だったし、やはり大久保だと思う。

問題は戦後である。歴代の首相経験者の中では、吉田茂の功績はそれこそ国葬されるだけのものであったとは思うが、対米追従・日本の半植民地化を決定づけたという反面もある。まあ、性格的にも好ましい人物とは言い難い。池田勇人は高度経済成長を牽引した苦労人(東大卒の中の官界で京大卒、しかも結核などの病魔に侵された)である。しかし、首相になった時期が良かった。ラッキーさが付きまとう。佐藤は長期政権でノーベル平和賞ももらったが、特に印象がない。田中角栄は、池田と正反対で首相になった時期が悪かった。日本列島改造計画はすでに時期を逸していた。池田や田中のような日本の総合的プランを提示した首相は少ない。中曽根は少数派閥であるのに、政治手腕を駆使し、米大統領とロン・ヤスの関係性を作り上げた外交上手・パフォーマンス上手であり、安倍のトランプとの関係と似ている。しかし不倫空母発言や日航機墜落事故など黒い部分もあり、結局のところ行政改革から構造改革=新自由主義的な小さな政府化を押し進めたに過ぎない。よって「三角大福中」の中では、角と中のみ宰相らしき宰相で、福にいたっては大蔵省主計局長という超エリートだというだけにすぎない。「安(安倍晋太郎は病死してしまった)竹宮」も宰相というには程遠い。小泉は人気が高かったが、新自由主義化を進め今の日本を最も住みにくくした張本人であると言っても過言ではない。民主党政権は言うに及ばずである。では故安倍晋三はどうか。国葬に値するかはともかく、宰相とは呼べるのではないか。ただ、彼が目指した戦後レジームからの脱却は、決してうまくいかなかった。

というわけで、実に難しいのだが、私は55年体制を作り上げた寝業師を挙げたい。自分が首相になるとかいった私心はなく、吉田自由党と鳩山民主党の合併を成し遂げた鳩山の盟友・三木武吉を挙げたい。「誠心誠意嘘をつく。」という名言を残した寝業師である。まあ、とんでもないオッサンなのだが、最強という意味では三木武吉かな。(笑)

ちなみに、宰相という感じではないが、私はアフリカを1960年という時期に放浪し、人の痛みを知る小渕恵三首相が、沖縄でサミットを開催したことに個人的信念を強く感じている。”凡人”とか”冷めたピザ”とか言われながら、着実に政務(ウタハタ問題を処理したり、周辺事態法や金融危機を乗り越えている)をこなしているのも再評価されていいと思っている次第。

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