2017年10月25日水曜日

「アラブの春」の正体を読む。

この本もだいぶ前に、日本人会の無人古本コーナーで購入したものだ。「アラブの春」の正体-欧米とメディアに踊らされた民主化革命-(重信メイ著/角川ONEテーマ21・2012年10月)。もうお気づきの方もあるかもしれないが、著者は日本赤軍の重房信子の娘さんである。ベイルートのアメリカン大学と同大学の院(国際関係学)を卒業、日本国籍習得後は、同志社大学の院の博士課程に学んだという中東関係のジャーナリストである。

アラブの春については、前々から興味があった。およそ、チュニジアからエジプト、リビア、シリアと飛び火したというのが通説になっているし、私もそう教えてきた。だが、これはあくまでも欧米のマスメディアによる報道から得た情報であって、実際にはもっと拡がっているようだ。しかし、様々な要因から報道されないままになっているというのがこの本の主旨である。中には操作された報道もあるようだ。

EJUでも出題頻度の関係で「情報リテラシー」について語ることが多い。だが、この本を読む限りにおいて、いくら多くの情報に接しても、その裏にある真実にたどり着くのは至難の業であることがわかる。「知る権利」などと叫んでみても、あまりに我々は無力であると感じる。

この重信メイという著者は、当然ながら母親の血とレバノン在住のパレスチナ難民の父親の血を受け継いでいるはずで、日本赤軍というレッテルを貼るのは全く間違いだと思うが、少なくとも、欧米的利害とは一線を画している。一般的な表現を使うとリベラルな立場にある。当然反イスラエル的だとは感じる部分もあるが、このことはアラブ世界の常識なので、そういう意味では普通のアラブ人の目線で書かれているように思う。もちろん、著者はアラビア語は半分以上母語のようなもので、細かな情報を得ることも出来るし、フィールドワークも十分可能であり、またそれに裏打ちされた内容なので、その思想性があまり出ていない分、かなり信用できると私は思う。

一気にその内容を記すのは、少しもったいない気がする。これから少しずつエントリーしようかなと思う次第。

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