2012年3月16日金曜日

「謎の1セント硬貨」を読む。

前任校の卒業式の帰路だったと思う。京橋のK屋書店で文庫本を一冊買った。昨日書評を書いた佐藤優の文庫本を読むのに時間がかかったので、熟成した上で昨日あたりから読みだしたのだが、これがいい。アタリ中のアタリである。その文庫本とは、向井万紀男著『謎の1セント硬貨-真実は細部に宿る in USA-』(文春文庫・本年2月15日発行)である。

私はアフリカを研究する前は、アメリカの研究を10年ほどしていた。最近アメリカ本とは、とんと御無沙汰なので買ってみたのだ。著者の向井万紀男さんは、日本人初の女性宇宙飛行士向井千秋さんの夫である。この本の冒頭を読んで初めて知った。(笑)全くいいかげんな本選びである。(ちなみに妻は向井千秋さんを尊敬している。万紀男さんの本も読んでいて、当然知っていた。)

この本は、万紀男さんが、宇宙飛行士の訓練を受けている千秋さんがいるヒューストンを訪れ、共にアメリカを旅した際に、気になった小さな出来事をインターネットで調べたり、質問をメールしたりして謎を解いていくというパターンのエッセイ集である。内容もさることながら、軽快な文章が私の読心の琴線にふれまくった。どんどん読み進めてしまう。

あまり内容をばらさない方がいいと思うので、タイトルになっているプロローグの『謎の1セント硬貨』の話だけちょっと書いておこう。クリスマス休暇に千秋さんとフロリダに向かう国内線の機内で、アテンダントが明るくアナウンスするのだ。「ファーストクラスのお客様用のシャンパンがあまったので、エコノミーのお客様にプレゼントします。」「誰にプレゼントするか考えました。最も古いペニー(1セント硬貨)を持っているお客様に。」機内では、みんな財布を出して手持ちのペニーを調べて大騒ぎになったのだが…。ここに登場するのは「スチール・ペニー」を常に財布に入れていた男性。万紀男さんは、この「スチール・ペニー」について調べ、ある疑問をもち、メールを送ると言うわけだ。

この他、巨大な星条旗の話、空を見上げるポパイの話など、ちょっと他では知ることのできないアメリカのミクロな鳥瞰図が次々と紹介されるのだ。

当然まだ全部読んでいない。全部読んでもきっとブログで紹介することはできないだろう。私は読者のみなさんにも是非とも読んでいただきたいと思っているから…である。

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