2016年9月30日金曜日

IBTの話(40) 翻訳作業終了

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金曜日は、放課後の補習しか教壇に立つことはない。前日デスクワークが出来る日である。定期試験が先日(月曜日から水曜日まで)終わり、すでに宿題も配布済み。教材研究のほうも、経済の補足プリントも、いよいよ終わりに近づいている。10月に入って、金融・財政問題を講じ終わったら、EJUの問題演習を繰り返すつもりだ。そんなわけで、今日はやっと7月から取り組んできた生徒の進路用の「翻訳作業」をなんとか終えることができた。

2年間の成績表(これは学校によって書式はバラバラ)。SPMの成績証(これはほぼ書式は同じ。)。離校証明書(卒業証明書のこと。これも学校によってバラバラ)。出生証明書(ある程度、地域で書式が決まっている。父親の職業はかなり具体的な記述になっている。)といった書類群だ。

マレーシアはそもそもイギリスの植民地の過去をもつから、イギリス式で各教科にA+とか、B-といった評価がつくこと。華人の生徒の場合、マレー語、中国語、英語の3か国語を履修していること。(これはかなり大変だと思われる。)早くから文系・理系に分かれること。課外活動などでは、「制服を着て行う課外活動」という項目があって、極めてわかりにくいが、ボランティア活動や軍隊的な活動などがあるそうだ。もちろん、日本と同様のクラブ活動もある。面白い表現では、クラス委員の中に、「秘書」というのがあって、旨い日本語はついに浮かばなかった。(笑)

こういう翻訳作業から知りえるマレーシアの教育事情は、貴重なものだ。もちろん、書類からわかることなど知れたものかもしれないけれど、かなり刺激的であったことはたしかである。今日の画像は、マレーシアのスクールバスのもの。車体にはマレー語でそう書いてある。最初は私も不可思議だったけれど、最近マレー語のスペルにも興味深々になってきた。

2016年9月29日木曜日

大森実「人物現代史」を再読す。

昔、教師になりたての頃、大森実の「人物現代史」を全巻揃えて読んだ。研修費ということで図書券が配布されていた良き時代の話だ。この人物現代史シリーズは、大学を出たての私には酷く難解な本だった。だが、とにかく通読したのを覚えている。偉大なジャーナリスト大森実氏の念密な調査・研究の集大成である。第一巻はヒトラー。その後、ムッソリーニ、スターリン、チャーチル、F・ルーズベルトと続いていく。(画像参照)

今年の3月末、日本を出ることになった私の膨大な蔵書が、息子のこれまた膨大な書籍の里帰りと重なって、自宅の本の置き場がなくなった。結局私の蔵書のほとんどが破棄されることになった。マレーシアに持ってこれるような量ではないので、泣く泣く妻の提言に従ったのだ。この人物現代史も、破棄の中に入っていた。その後、中古の文庫本でとりあえず3冊をアマゾンで取寄せ、妻の来馬の前、妻の荷物と共に8月初旬に送ってもらった。どうしてももう一度読みたかったのである。

改めて、「ヒトラー」を読んでいると、物凄くよく解る。35年の教材研究の歳月が、この詳細なドキュメンタリーの行間をほとんど埋めていることを発見した。本当に良い本は、再読・再再読に十分耐え得る。近年、池上彰が現代史モノを極めてわかりやすく説いているが、やはり私はそれだけで十分満足するような学生はダメだと思っている。現代史を理解するうえで最初に読むべしは、この大森実だ、と思う。十分わからなくても通読してみる。そこから疑問や新たな興味が湧き出でてきてこそ、本当のの「知」になりうる。古い本だが、今なお輝きを持っている。そういう意味でも、私は良い時代を生きてきた、と思う。現代史を学ぶには「壁」としての大森実しかいなかった。そして池上彰はいなかったからだ。

…ひどく大上段なハナシになってしまった。再読の中で、印象に残ったことなど、またエントリーしてみようかと思う。

2016年9月28日水曜日

「イスラーム圏で働く」を読む(2)

ザムザム・ウォーター
備忘録的に、「イスラーム圏で働く」から印象深かった内容をエントリーしておきたい。

エミレーツ航空のアテンダントの話。メッカ巡礼時のフライトでは、巡礼用の衣装であるイラフーム(白い衣装)に着替えている人には、女性、特に非ムスリムは触れてはいけないので細心の注意が必要らしい。また、国際的には機内に液体の持ち込みは不可なのだが、この時はメッカの聖モスクのザムザムの泉をつめたボトルは特例として持ち込み可だとか。特別な容器に入っているのですぐわかるらしい。(画像参照)

オマーンでは、厳格なムスリムが多いので、外国人であっても、マドンナのTシャツとか、ボブ・マーリーのTシャツとか顔入りの服を着て街を歩くことはあり得ないそうだ。半袖・半パン姿もダメ。間違いなく警察に捕まるとのこと。…うーん、マレーシアでは考えられない。

クウェートでの話。クウェート人はプライドが高く、外国人の元では決して働かない。湾岸産油国に共通していることで、外国人はあくまで使うもの、雇うものという姿勢であるとか。アラブ世界でのビジネスで心得るべきことは、「あせらず、あきらめず、あてにせず。」だという。…マレーシアでは、全く違う。これはイスラームというよりまさに国民性であろうと思う。

イランでの話。ペルシャ商人の発想が面白い。クリーニング屋にワイシャツを出したら、はじめ1000トマン(約100円)、二度目は1500トマン、3度目は2000トマンだと愛想よく言われたという。不思議に思って、イラン人に聞いてみると、自分の店を気にってリピーターになったのだがらもっと高くしてもまた来てくれるだろうという発想らしい。その後、こちらの顔色を見ながら2000トマンで落ち着いたのだとか。全く発想が日本とは違うわけで、こういう異文化体験は貴重な話だと思う。

2016年9月27日火曜日

「イスラーム圏で働く」を読む。

岩波新書の「イスラーム圏で働く」(桜井啓子著/15年9月発行)を読み終えた。コツコツと楽しみながら読んできた。こうして実際にイスラーム圏のマレーシアに住んでみると、ウンウンと頷くことの多い本である。そもそも、イスラーム圏で働くことになる人が多いのに、とりあえず行の航空機の中で読めるような1冊ということで、様々な国のムスリムとの付き合い方、国民性みたいなことが、様々な体験談として掲載されている。湾岸諸国、アラブ諸国、イラン、トルコ、パキスタン、そしてマレーシア・インドネシア。最後にムスリムを迎え入れる日本。これらは、実際に大学で学生向けに講演してもらったものをまとめたものだそうだ。

エントリーしておきたい記述もかなり多いのだが、とりあえず今日は、マレーシアの項だけ紹介しておこうと思う。マレーシアの話は、私の大好きな「天ぷらうどん」の桃太郎食品の社長・小山氏の話だ。ハラール認証の話が詳しい。桃太郎食品では、シンガポールやタイ向けにノン・ハラルの豚骨ラーメンなども作っているので、両者を完全に分けなければ認証がおりないらしい。工場を分けるだけでなく、食品の貯蔵・配送も、である。ビジネスとしては、そんなにおいしい話ではないらしい。

マレーシアの人々は「えこひいき」を非常に嫌う傾向にあるらしい。華人・インド系とともに共生しているマレー系らしい話だ。ただし、食事などは全く別にとるという。うんうん。他を理解し、認めつつも、それなりの距離をとっている…非常によくわかる次第。他の地域のハナシも時間があれば、備忘録的に、いずれエントリーしようかと思う。

2016年9月25日日曜日

大阪人、豪栄道の優勝を祝す。

「豪栄道が優勝した。実は、TVは全然見ていない(NHKの国際放送では見れない)のだが…。豪栄道は寝屋川市の出身である。私の自宅がある枚方の隣の市である。ちなみに「勢」もお隣の交野市出身である。大阪人としては、大阪出身の力士が活躍するのは、やはり嬉しい。大阪は、実は相撲は、野球やラグビー、サッカーなどとと比べて、全然と言っていいほど盛んな土地ではない。豪栄道もまた高校時代、他府県で力を磨いている。ただ、その源になったのは交野市にある相撲道場で、実は昔、私が一時期合気道をやっていた頃、その練習会場の横に道場があって、彼らが子供の頃技を磨いたであろう土俵を見たことがある。ちょっとだけ私との属性もあるわけだ。大阪人としては、86年ぶりの優勝を率直に喜びたい。

このところ、白鳳らモンゴルの力士に対して、やたら風当たりが強く、日本人力士の活躍に期待する声が多い。国技故、云々…。それなら、高見山以来の外国人力士を最初から認めなければいい話だ。これだけ、外国人力士が増えて、それぞれが日本の伝統に合わそうと努力しているのである。失敗も時にはあるかもしれない。もっと広い気持ちで、外国人力士を応援するべきだと私は思う。

ともあれ、豪栄道の優勝、実にあっぱれである。「勢」も是非、続いてほしい。

追記:豪栄道は、千秋楽の取組を終え、全勝優勝したとのこと。それもカド番からである。嬉しいねえ。

南国の時間に慣れる。

昨夜、コンドのカフェで妻がしみじみとこう言った。「おとうさん、気が長くなったねえ。」

「…?」昨日は朝からTスーパーに行ったり、家電のメガセールにいったりしたのだが、長く待たされることが多かった。日本なら、もうすこし素早い対応をしてくれるのが、マレーシアでは店員さんがのんびりしたものである。だから、待たされることが多い。バスもいつ来るかわからない。まあ、「南国の時間に合わすしかない。」という諦観が、この半年ですっかり身についたのかもしれない。(笑)

滞在1か月の妻からすれば、この南国の時間にまだ慣れていないのだろう。特に昨夜のカフェは、注文した食事が出てくるのに小一時間かかった。(笑)マスターが一人で作っているし、電話も受けるし、会計もしている。かなり効率が悪いのだ。でも、この効率の悪さに私は十分に慣れてしまった。「仕方がない、忙しいんだ。マスターも頑張っているんだし…。料理は美味いのだから、楽しみに待つのもいいじゃないか。」そう思ってしまうのだ。

南国は、時間がゆっくり流れている。非効率かもしれないが、それもまた南国特有ののスパイスである。(画像は、コンドの我が棟の入口付近)

2016年9月24日土曜日

生活の改善13/炊飯器を買う。

お粥 第一夜 焼き豚・ゆで卵とサンマのコラボ
妻の生活改善大作戦は、毎日進んでいる。(笑)
先日、ジャポニカ米を鍋とガスレンジで炊いたのだが、どうもレンジの火力にバラつきがあって、よく炊けるところと火が通ってないところがあったりして、うーんと唸りながら気を遣って調節をしていたようだ。しかも十分に水を吸わせているはずが、結局のところ、少しシンが残っていた。かなり不本意な結果だったらしい。

ここで、妻は決断したようだ。炊飯器がやはり必要である。最初、日本から息子に運んでもらう計画を立てていたのだが、A先生に聞くと電圧の問題があってきっと故障するだろうとのこと。なるほど。で、結局こちらで買うことにしたのだ。安い電化製品を求めて、今朝、散歩がてら、Tというスーパーへ向かった。以前私が扇風機を買ったスーパーである。

すると、何やら騒がしい。Tに行く手前のちょっと大きな電気店がメガセールをやっていたのだった。ローカルな情報には全く疎いので、完全なる偶然である。凄い人だかりだった。そこで、RM130(日本円に直すと4000円くらい)のシャープ製の炊飯器が売られていた。蒸したりする調理もできるらしい。結局、これを買うことにした。

やはり日本製、シャープやで、といわけだ。ちなみに、ペンソニックといういかにもパナソニックを意識したメーカーの商品もマレーシアでは売っている。日本人としては、ちょっと警戒してしまうわけだ。といっても、このシャープの炊飯器、MADE IN 台湾とあった。うーん、時節柄、極めて微妙な話である。授業でも教えているが、すでに全ての部品を日本国内で生産している日本の電器メーカーなど存在しない可能性が高い。日本のメーカーを選ぶのはあくまで気分の問題であると言わざるを得ない。(笑)ところで、この炊飯器には、タイマーがついていないようだ。シンプルなほうが壊れない、と妻は言う。シンプルな炊飯器だから安いのだろう。でも妻が十分だというので、私は口出しする気はない。
お粥 第二夜 ラム肉と浅漬けのコラボ
先日のシンのあるお米の残りは、冷凍保存された後、私のランチとして2回使われた。さらに2回お粥となって夕食時に再構築された(今日の画像参照)。これがなかなかイケるのである。お粥大好き夫婦としては、こちらの非ジャポニカ米をお粥にして食するという作戦も考え始めている。