2022年11月8日火曜日

紂王と妲己

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久しぶりに授業の話をエントリーしようと思う。倫理の授業で、朱子学・陽明学・古学さらに国学とかなり早いスピードで授業を進めていた。古学の系譜の中で、荻生徂徠の古文辞学に、先王の道というのがある。ちょっと世界史を選択している生徒に聞いてみた。「孔子」は何時代?「春秋です。」その前は?「周です。」その前は?「殷です。」その前は?「夏です。」この辺はさすが進学校である。すっと出てくる。荻生徂徠の言う「堯・舜」というのはさらにその前の神話時代の王の名で、孔子が理想とした君主である。

ところで、国学の本居宣長は古事記伝を著した。古事記のほうが日本書紀より優れていることを記しているのだが、中国の易姓革命的記述は日本書紀には見られるが、古事記にはない。つまり漢意(からごころ:外来思想の意味)がないわけだ。ここで易姓革命について質問してみた。まだ黒板(正確にはホワイトボードだが…)に殷も周も書いてある。「殷と言えばとんでもない王がいたが、誰?」これはさすがにすっと出て来ない。だが、世界史が得意そうな生徒に当ててみると、「紂王です。」と出てきた。全クラスで答えてくれた。うむ。いいぞ。ではその奥さんは?「妲己です。」これはさすがに文系クラスの中において超優秀と言われている生徒のみ答えれたのだったが…。おお。よく出たなあと感心した。出たところで易姓革命を語る。世界史組はよくわかっているが、日本史組はあまり知らない。

高校の世界史も日本史もかなり内容が濃いので、選択制になっているが、専門化しすぎて両者に倫理を教えるのにはちょっと難儀する。近代哲学史は世界史組有利、日本思想史は日本史組有利。両者共にある程度知っているのが理想である。今の1年生から歴史基礎(世界近代史+日本史近代史)と地理基礎がそれぞれ2単位で必修になったのだが…。

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