今日はいよいよ平成最後の日である。マレーシアにあっても、日本人会という小世界に勤務している関係で、平成最後の日という感覚は強い。マレーシアの学生も、平成という元号や令和という元号に大きな関心を抱いている。日本にあればもっと強いかもしれない。
ところで、日本人会のセキュリティーも、今日で入れ替えが行われる。元号に合わせて、というわけではないだろうが、私がPBT(当時はIBT)に務めて以来、ずっと同じメンバーであった。マレーシアの規則では、セキュリティの仕事につくのは、マレー系もしくはネパール系であることが条件である。ネパール系が入っているのは、グルカ兵として、ちょうどヨーロッパのスイス兵同様、その強さへのイギリス植民地的信頼だろうと思う。
セキュリティーの玄関のボスと話していて、「彼はネパール人だ。」と教えて貰ったときに、「グルカなんだ。」と私が言ったら、彼がたいそう喜んで握手を求めて来たのを思い出す。この玄関のボスは、私がマレーシアでホテルに一泊して、早朝に散歩がてらに初めて日本人会を探し出した時、「明日から、ここに務めるんだ。」と言ったら、握手を求めて来て、大いに喜んでくれたのを思い出す。
入学式や卒業式、あるいはオープンキャンパスの時など、彼らは機敏に動いてくれた。英語はかなりのマングリッシュで、30%くらいしか判らないのだけれど、コミュニケーションは十分に取れていたと思う。「長い間、ありがとう。」とセキュリティのトップと玄関のボスと今日は館内で握手した。他のメンバーとも一人ひとり握手した。
…そんな平成最後の日であったのだ。
最後になってしまったが、今上陛下・皇后陛下におかれては、長らく日本という国を背負って頂いて、日本国民の一人として、大変ありがたく思っている次第。大きな荷を下ろされ、これからも少し軽めのお立場で見守って頂きたいと思う。
皇太子殿下におかれては、新たな日本の象徴として、今上陛下の歩まれた道を、さらに深めていただければ、と思う。
2019年4月30日火曜日
2019年4月29日月曜日
PBTの話(25) 経済分野のPP2
2コマ半の授業の合間、ずっと経済分野のパワーポイントを作っていた。ようやく、金融政策まで来たところ。経済分野を無理矢理視覚的に表すのは、やはり難しいが、なんとかカタチになったような気がする。
私の金融政策の講義は、マネー・ストックを基本に置く。インフレ・デフレ対策として、マネー・ストックの預貯金への対応が、政策金利政策だが、貯蓄する消費者の問題もさることながら、企業への融資で生まれる信用創造の増減が重要だ。これに、国債などの公開市場操作(売りオペと買いオペの話)が登場する。ここの大きなポイントは、日銀が主語の売り・買いオペであることだ。金融政策は、財政政策と共に、EJUでも極めて重要な箇所である。
2019年4月28日日曜日
デリダの「ゼロ記号」
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| Jacques Derrida //www.youtube.com/watch?v=c3InSc0sFnw&app=desktop |
連合赤軍の事件を扱った映画を例に著者は、「ゼロ記号」を説明している。彼らが、総括という名のリンチを行う際に発せられた「共産主義の地平では」というシニファンがそれである。銭湯に入った、薄く化粧をした、などの行為を批判する際に使われた。この「共産主義」が、連合赤軍の組織の構造の中心に置かれた特権的な記号である。しかも、この共産主義とは何か、誰一人明確には言えなかった。シニフェなきシニファンであり、これが「ゼロ記号」である。デリダによれば、このゼロ記号が付加されることで、構造がまさに構造として成立する。著者によると、「画竜点睛」、これで構造の中の要素の全ての意味が決定される。デリダの用語ではこれを「シュプレマン」(英語だとサプリメント)というそうだ。
この話は、レヴィー=ストロースへの批判のひとつとして、本書でかなり後に登場するのだが、私は大きなインパクトを受けた。身の回りにある「ゼロ記号」を探してみるのも面白い。こういう訓練が、関学のH君の言っていた「社会学的な眼」を鍛えるのかもしれない。
2019年4月27日土曜日
「ホッブズ問題」・「ルソー問題」
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| https://www.youtube.com/watch?v=x_K8kuzlu10&app=desktop |
また、ホッブズの理論を突き詰めていくと、法(秩序のある状態)とは、普遍化された犯罪である(法の中に犯罪が内在している)ということになる。後世、ベンヤミンという社会学者がこのことを言っているのだが、ホッブズ問題は、現代の社会学理論につながる伏線となっているようだ。
ルソーもまた、社会学史から見ると大きな存在である。ルソーの一般意志は、全体意志(多数決)とどう違うのか?たとえば、日本に原発が必要か?について国民投票するとして、自分は電力会社に勤めているから自分の利益に繋がる、あるいは原発のお陰で自治体に金が下りていて自分の利害に繋がるというような私的利害と独立したところで、投票しなければならない。その上で、一般意志は成り立つ。後世のロールズは「無知のベール」と呼ぶ。私的利害からの無知の必要性を説いているわけだ。
ルソー的な感覚がある、と著者は言う。スタロバンスキーという人のルソー論に「透明と傷害」というのがあって、要するに、ルソーは透明かつ直接的なのである。逆に言うと不透明なであったり間接的であったりするコミュニケーションは嘘が入り込む、よくないというのがルソーの直感である。ルソーの理想的な自然状態は、透明な共同体で、「社会秩序はいかにして可能か」という命題がそもそも成立しない。これは、後世のカッシーラーが「ルソー問題」と読んだ問題でもある。これで、ルソーはももすごくリベラルだとも解釈できるし、同時に全体主義を正当化しているともとれるという解釈上の大問題である。
…なるほど。高校の倫理や政経で教える基本的な知識としての社会契約説の話とは、かなり違う深い内容で、私は実に面白かった。社会学の徒・L君やH君はどうかな?
日本の10連休という難問
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| ウズベク語の講座の写真 |
ところが、5月1日はマレーシアもメーデーで休日である。在馬日本大使館より、皇太子御即位のレセプションがあるとのことで、PBTにも御招待の案内が届いた。だが、ちょうど、前任校より、お世話になった英語のY先生がマレーシアに来られていて、この日は以前からKLをご案内する予定が入っていたので、私は不参加を決め込んだのだった。(日本大使館は足の便が悪いし、スーツ着用なので、どっちみちご辞退申し上げたと思う。)心の中で、今上陛下への長年の御礼と、一昨年KLでお会いできた皇太子殿下のご健勝をでお祈りするつもりだ。
ところで、この日本の10連休、日本の人々にとっては、どう過ごすか難問であるらしい。我が息子夫婦の京都のカフェでは、なんと10日間連続の、ヘブライ語講座とペルシャ語講座を行うらしい。私などは、なんと無謀な取り組みと思ったのだが、満員で募集を打ち切ったらしい。意外である。3月に開店したのに、すでに、ツィートには、1000を超えるフォロワーがいるようだ。ウズベク語やクルド語の講座などもやっているらしい。マイナーな地域の文化サロン的なカフェなのだが、盛況らしい。実にありがたい話である。
https://twitter.com/finjan_kyoto?lang=ja
この10日間を、マイナーな語学を学んで有意義に過ごすという、凄い取り組みのお話。
2019年4月26日金曜日
断水騒動とトップアップ
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| http://flyingdoya.com/malaysia/2016/01/07 |
さて、最近我が夫婦のスマホのトップアップ(毎月RM30入金する必要がある)は、ミッドバレーの隣にあるビルで、機械で妻が電話番号を入力・入金する手はずになっている。電話会社の比較的大きな店である。その店が、今日無くなっていたらしい。妻が激怒していた。これもまた嗚呼マレーシアである。ありがたいことに、タマンデサにもその電話会社の小さな店が出来ているので、明日買い物ついでに行く予定にしている。まあ、なんとかなるのがマレーシアである。(笑)私はこういうマレーシアが大好き。
2019年4月25日木曜日
PBTの話(24) 日本近代史
Eクラスは、今日で日本近代史が終わった。Dクラスも明日終わる予定だ。面白いのは、国費生がかなり日本史に興味をもっていたことである。日本史の超概説で、天皇制が続いている事、平安時代くらいから天皇は「権力」から「権威」へと移行することなどを教えた。織田信長や、豊臣秀吉、徳川家康なども、天皇の権威で統一をはかろうとした事。源氏は清和天皇、平氏は桓武天皇と、天皇の嫡子から派生したことを述べたりした。ドラえもんのしずかちゃんは源氏の末裔であることなどがウケた。(笑)征夷大将軍の意味などを教えて授業が終わったら、「織田信長はなぜ一向一揆を弾圧したのでしょうか?」という質問がきた。おお。なかなかディープな質問である。意外に、日本史に詳しい。ちょっと驚きである。「篤姫のことをもっと教えて下さい。」といった質問もあった。嬉しい悲鳴だ。
総合科目のシラバスは、基本的に近代史なのだが、私の授業の大きなテーマは、なぜ日本は植民地にならなかったか?である。幕末の状況をまず語る。マレー系の学生なので、江戸幕府・徳川将軍家をマラッカ王国に喩え、スルタンの小国林立を藩に喩えた。これは分かりやすいらしい。しかも日本は資本主義がガラパゴス的に発達していたし、教育程度が高く、識字率も高かったことを述べた。さらに生麦事件など武士の強さ、教養、武士道などを教えておく。薩英戦争でイギリスと雄藩が繋がることも教えておいた。戊辰戦争の戊辰の十二支の意味も、マレー系は中華系と共生しているので理解できる。(笑)武士道の話は、山岡鉄舟の駿府行き、あるいは明治天皇の教育係として、最後に死に様などで理解を深める。意外に、ワンピースのゾロの話(船長のルフィを護って痛みをクマから受ける話)が武士道の理解を深めたようだ。あの手この手で説明しているわけだ。
これらの話が、後に繋がる。武士道を翻訳した新渡戸稲造のファンだったセオドア・ルーズベルトが、日露戦争の仲介に動くし、日本海大海戦で東郷の足下が靴のカタチに乾いていた話、そのロシアに勝った東郷がトルコで人気であること。これはクリミア戦争に結びつく。戊辰戦争も、人気優先・勝つ戦争にしか参加しなかったナポレオン三世の治世であったことが英仏の対立にまで及ばなかったことなど、これまでの学習と様々に結びついていく。こういうことを国費生に気づかせたいと思っている。
不平等条約で関税自主権がなかったことは、自由貿易・保護貿易でも総括する。トップに君臨したイギリスは、アダム=スミスとリカードが自由貿易の理論でリードしたのは当然。フランスは、一時保護貿易に走り、工業化を図る。ナポレオン戦争後の大陸封鎖論である。ドイツもビスマルクの保護貿易政策で工業化を図る。アメリカは、米英戦争で図らずも保護貿易化し、商工業地域の北部が勝利する。日本は、最初から自由貿易化、すなわち工業化しにくい状況におかれたわけだ。
不平等条約の改正のため、岩倉使節団が欧米に向かい、近代国家論を認識して帰ってくる。この民主主義、資本主義、国民国家=国民皆兵のビンゴが日本の目標と成るわけだが、イギリスやフランスと違い、国身国家化から始めるわけだ。しかし、大日本帝国憲法と帝国議会の開設でビンゴしたのに、不平等条約(内実的な植民地化)は改正してもらえなかった。結局、日清戦争、日露戦争で勝利して、列強の一員になる。まさにサバイバルゲームであったわけだが、その後は自信過剰に陥っていくわけだ。同じアジア人として、この日本の歴史をどう思うか?と尋ねた。マレー系の学生は、WWⅡでイギリスを打ち破ったことに好意的である。まあ、この先は以後の世界史をやってからかなと思う。
総合科目のシラバスは、基本的に近代史なのだが、私の授業の大きなテーマは、なぜ日本は植民地にならなかったか?である。幕末の状況をまず語る。マレー系の学生なので、江戸幕府・徳川将軍家をマラッカ王国に喩え、スルタンの小国林立を藩に喩えた。これは分かりやすいらしい。しかも日本は資本主義がガラパゴス的に発達していたし、教育程度が高く、識字率も高かったことを述べた。さらに生麦事件など武士の強さ、教養、武士道などを教えておく。薩英戦争でイギリスと雄藩が繋がることも教えておいた。戊辰戦争の戊辰の十二支の意味も、マレー系は中華系と共生しているので理解できる。(笑)武士道の話は、山岡鉄舟の駿府行き、あるいは明治天皇の教育係として、最後に死に様などで理解を深める。意外に、ワンピースのゾロの話(船長のルフィを護って痛みをクマから受ける話)が武士道の理解を深めたようだ。あの手この手で説明しているわけだ。
これらの話が、後に繋がる。武士道を翻訳した新渡戸稲造のファンだったセオドア・ルーズベルトが、日露戦争の仲介に動くし、日本海大海戦で東郷の足下が靴のカタチに乾いていた話、そのロシアに勝った東郷がトルコで人気であること。これはクリミア戦争に結びつく。戊辰戦争も、人気優先・勝つ戦争にしか参加しなかったナポレオン三世の治世であったことが英仏の対立にまで及ばなかったことなど、これまでの学習と様々に結びついていく。こういうことを国費生に気づかせたいと思っている。
不平等条約で関税自主権がなかったことは、自由貿易・保護貿易でも総括する。トップに君臨したイギリスは、アダム=スミスとリカードが自由貿易の理論でリードしたのは当然。フランスは、一時保護貿易に走り、工業化を図る。ナポレオン戦争後の大陸封鎖論である。ドイツもビスマルクの保護貿易政策で工業化を図る。アメリカは、米英戦争で図らずも保護貿易化し、商工業地域の北部が勝利する。日本は、最初から自由貿易化、すなわち工業化しにくい状況におかれたわけだ。
不平等条約の改正のため、岩倉使節団が欧米に向かい、近代国家論を認識して帰ってくる。この民主主義、資本主義、国民国家=国民皆兵のビンゴが日本の目標と成るわけだが、イギリスやフランスと違い、国身国家化から始めるわけだ。しかし、大日本帝国憲法と帝国議会の開設でビンゴしたのに、不平等条約(内実的な植民地化)は改正してもらえなかった。結局、日清戦争、日露戦争で勝利して、列強の一員になる。まさにサバイバルゲームであったわけだが、その後は自信過剰に陥っていくわけだ。同じアジア人として、この日本の歴史をどう思うか?と尋ねた。マレー系の学生は、WWⅡでイギリスを打ち破ったことに好意的である。まあ、この先は以後の世界史をやってからかなと思う。
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