2013年7月31日水曜日

吉田友和のヨーロッパ鉄道旅

旅に出たいけど出れない今夏は、ひたすら旅行記を読んでいる。今日の書評は、吉田友和という旅行作家の「ヨーロッパ鉄道旅ってクセになる!-国境を陸路で越えて10カ国-」(幻冬舎文庫/本年7月5日初版)である。私は初めて吉田氏の本を読んだのだが、WEBで調べたら、もうずいぶん旅行記を出しているようだ。とはいえ、私にとっては全くの新旅行作家であるわけだ。

この本では、「ユーレイルセレクトパス」というヨーロッパの鉄道を(吉田氏の場合)5カ国8日間自由に乗れるという、「一等車の青春18きっぷのようなパス」で旅する。吉田氏はこれをアメリカで購入して、送ってもらっている。その使い方も極めて詳細に書かれている。もちろん、吉田氏自身の失敗談から学ぶというスタイルが多い。

吉田氏は、適度に教養があり、貧乏旅もできるけど、やっぱりいいホテルやレストランには入りたい、しかもその情報集めは、iPadを駆使しているのが特徴のようだ。

私は、スマホも持っていないし、当然iPadなど持っていない。ところが、最近はこれらを使うことで、行きあたりばっ旅でも、融通無碍に情報をGETできるようである。今回の書評の最大のポイントは、そういう現在の旅のスタイルに驚いたという、極めてオジン臭い感想である。(私などは、地球の歩き方を持ち歩き、一泊目だけパソコンで予約する旧人類だ。)まだ1冊しか読んでいないので、下川祐治氏や蔵前仁一氏に私が抱く著者の人間性は、吉田氏には、まだはっきりと感じられない。優秀なリーマンパッカー(サラリーマンのバックパッカーで週末に海外旅行に勤しむ人々の意)だったことは間違いないようだが…。

ちょうど、スペインやスイスの鉄道で相次いで事故があったばかり。でも、私も乗りたい。どこでもいい。(笑)フランクフルトとアムステルダムの紀行文にはなつかしさもこみ上げたのだった。少し、この吉田氏の旅行記、追いかけてみるか。

2013年7月30日火曜日

「インドは今日も雨だった」を読む

古本の文庫本で、蔵前仁一の「インドは今日も雨だった」を読んだ。先日もエントリーしたように、今夏はどこへも行く予定がない。下川祐治に続いて、ついバックパッカー本を読んでしまうわけだ。蔵前仁一は、『旅行人』という雑誌を発行している人で、バックパッカー本の総元締めみたいな人なのだが、彼の描くイラストがユーモラスなので、どの著作もやわらかい感じがする。

さて、この本は、インドでも変ったトコロの紀行文である。そもそもチベットに行くつもりだったが、外国人旅行者を中国が締め出していたので、それならと、インドの北部、ダライ=ラマが住むチベット文化圏を訪ねようという旅の話である。私は、昔々妻と共にインドに行く予定はあったのだが、妻が直前に交通事故に合ってぶっとんだ。以後、インドはもっぱら息子のテリトリーになってしまった。とにかくインドの旅はタフな旅になる。正直、体調不良の私には、バスの乗り継ぎの話だけで疲れてしまうのだ。

読んでいて疲れた話その1。ダラムサラにチベット難民が作った街マクロード・ガンジの安宿(チベッタン・アショカ・ゲストハウス)で出会った吉川君という優男風の大学生の話だ。彼は、ラサから途中のサガまでバスとトラックのヒッチで行きカイラス(チベットの聖地の超有名な山。シバ神のリンがを象徴する。)まで、初冬の道を歩き通したという。食糧はと聞くと「とりあえず…、ツァンパと水だけで。」ツァンパとはチベットのエスニックフードで、大麦の粉を炒っただけのもの。蔵前仁一はこう書く。「それだけで、初冬のチベット高原を500kmも歩き通すとは、おまえは河口慧海か!」…私は大笑いした。こういう教養に裏打ちされた蔵前仁一の文章が大好きである。ちなみに河口慧海は、『チベット旅行記』を表わした明治の禅僧である。大笑いした後、初冬のチベット高原の雪道を想像して、どっと疲れたのであった。たしかに無補給・ノー・サポートでやってのけた吉川君は凄いのだ。

読んでいて疲れた話その2。マラナという村があるらしい。変わった村で、村人に触れてはならないという掟を持っているという。ただし、バスもなく、かなり峻嶮な山道を登って行かねばならない。蔵前仁一と小川京子夫妻は、そのトレッキングに挑むのである。なんと9時間半。読んでいて大いに私は疲れ切った。(笑)しかも、この触れてはならないという掟、最初のうちは、どうも気苦労が絶えない。彼らは旅行者を汚れた者としてあつかっているヒンドゥー教徒なのであった。蔵前仁一は、この村の変わった掟はともかく村自体はいたってのんびりしたところで、なんとなくマリのドゴンの村を思いだしたと言う。雰囲気が似ているそうだ。

体調不良の夏季休業中の身の上には、面白いが疲れる一冊だった。(笑)

2013年7月29日月曜日

雨なので「道の駅」に行く

新鮮な地元産品のコーナー
夏季特別休暇中の私に、急に「どこかいこか。雨やし。」という逆説的なセリフを妻が吐いた。実は、愛車フォルクスワーゲン・ポロのクーラーの調子が悪いのだ。木曜日にワーゲンショップに持っていく予定だが、このところウィンドウを全開して運転している。日本各地で豪雨被害が出ていて、不謹慎で申し訳ない話だが、ドライブは雨のほうが涼しいのだった。

妻は「道の駅」が大好きである。近隣で取れた新鮮で安い野菜を買うのが大好きなのである。自宅から最も近い「道の駅」は、奈良県の平群(へぐりと読む。)にある。雨のワインディングロードを走り、生駒市に出て、さらに30分ほど走る。久しぶりなので、なんとか記憶をたどって到着。(今時珍しいと思うが、我が愛車にはカーナビなどというものはない。あれは便利すぎて、日本人をダメにするというのが夫婦共通の意見である。)

妻は、嬉々として買い物にいそしんだ。ブルーベリーやブラックベリーが安かったので、たくさん買ってジャムにするらしい。ちょっと楽しみである。

名産品コーナー・平群でいのししが取れるらしい。らほつ饅頭は売り切れていた。
奈良の土産物や平群の特産品も売っている、この「道の駅」、なかなか面白いのである。ちなみに、画像にある「らほつ饅頭」の「らほつ」とは仏の三十二相のひとつで、頭髪が一本一本とぐろを巻いている状態を言う。その「らほつ」が饅頭化されているわけだ。売り切れていなかったら欲しかった一品。いのししカレーはレトルトで500円。欲しかったが、妻に「今日は海鮮カレーやから、あかん。」と子供に言うみたいに拒否されたのだった。(笑)
レストランのBランチ。前菜+メイン+古代米+スープで1300円弱
平群の「道の駅」にはソフトクリームが売っていて、私はそれだけが楽しみだったのだが、併設されているヘルシーな安いフレンチのレストランがあり、妻がここで食事をとろうと言いだした。子羊のナントカ風とか、若鳥のナントカ風というA・Bランチを頼んだ。なかなか美味で、「大阪市内やったら倍はする。」と妻は御機嫌であった。満腹になってしまい、もうひとつの楽しみだったタコ焼きも食べる気がしなくなった。ソフトクリームも、レストランで冷コーヒーを飲みすぎて、もういいわとなってしまった。私にとっては何をしに来たのかわからない。(笑)とはいえ、私の体調が悪く往復とも妻がハンドルを握ったので、文句もいえない。

2013年7月28日日曜日

ピーター会 in 奈良

奈良である。
昨日は、久しぶりのピーター会だった。ピーター会というのは、JICAの教師派遣旅行でケニアに行った高校教師の集まりだ。ピーターという名称は、旅行時のガイドであった故ピーター・オルワ氏から取られている。今回の集まりは、先の国際理解教育学会で、N女子大付属中等学校のM先生がスタディーツアーのパネルで、ツアー後の研修の持続性に否定的な意見が出た際、「私たちはよく集まって研修してますよ。」と発言したことに始まる。たしかに、1年毎くらいに集まっている。私も関西で行われる集まりには出来るだけ出るようにしている。

昨日は、午前中、奈良でWHE(世界遺産教育)を熱心に研究・実践されているH高校のY先生をゲストに迎え、興福寺と東大寺を視察した。さすがに詳しい。興福寺は元の姿に復元しようと頑張っている。かなり年月がかかりそうだけれど…。東大寺には新しく博物館ができていた。大仏殿は何度かの再建
によって、左右がちぢんでしまったことも知った。なかなか有意義なWHE研修であったわけだ。ところで、奈良にも外国人観光客が多い。中国語や韓国語、スペイン語やフランス語も飛び交っていたんだった。

昼食は、M先生の勤務校前の食堂。ここは、過去にピーター氏が来校した際大好物のかつ丼を食したという、我がピーター会メンバーにとっては意義深い文化遺産ともいえる食堂である。当然、かつ丼を食したのだった。

午後は、研修会。JICAのシニア・ボランティアで、理数科教育を指導し、ガーナから帰国した教授の講義、なつかしのピーターのビデオ、そして少し時間が余ったので、私のアフリカSDゲームの報告と、イスラエル考現学のパワーポイントを見てもらった。

M先生の勤務校玄関・ユネスコスクールのプレートがまぶしい
平成3年のJICA研修旅行から10年。今回は石川・静岡からも含め8人が集まった。それぞれの立場で頑張っているのだった。ところで、奈良から自宅に戻る時、西大寺駅で乗り換えに迷っている人のよさそうなお父さんを中心とした外国人観光客家族と出くわした。京都の宿に戻るらしい。久しぶりに親切な日本人役が回ってきたわけだ。聞くとマレーシアの人だった。このブログの常設ページにある「地球市民の記憶」は私の備忘録の意味合いもある。見ると意外にもマレーシアの人との関わりは始めてだった。先日のサウジアラビア人に続いて、カウントが増えたのだった。100カ国まであと少し。

2013年7月26日金曜日

アフリカのデモクレイジー2題

The Factual Opinionより
WEB記事によると、赤道ギニアの大統領の息子がフランス国内で、公金横領罪で家宅捜査を受けたという。パリにある101室もある大邸宅には、105億円相当の宝飾類や美術品、高級ワインや、ほとんど乗られた形跡のない高級車やスポーツカーがあったのそうだ。赤道ギニアといえば、経済成長率がアフリカでも有数の産油国であるが、ほとんどの国民は絶対貧困というエゲツナイ国だ。外務省のHPによると、先日のTICADⅤでも招かれたのだが、日本政府はかなり冷淡な態度を示し、ガバナンス改善のための人材を送りましょうかといった程度であった。まあ、当然であるが、ここの国民はやりきれない。アフリカのデモクレイジーの代表格である。

一方、今日の毎日新聞の朝刊には、ジンバブエのムガベ大統領が今月31日に大統領選挙を強行すると言っているらしい。南アやアメリカなどは一斉に延期を要求している。野党に対するあからさまな干渉がその理由だが、ムガベは耳をかさない。まさに文字どうりのデモクレイジーである。89歳のムガベは、どんな無理をしてでも死ぬまで権力を離さないつもりらしい。

私の知るジンバブエの人々は純朴だ。安宿の前で、早朝喫煙していると、自転車で通勤していた男が、ニコッと笑って手を振ってくれる。「おはよう」と英語で言うと、わざわざ自転車を降り、「おはよう。何処から来たのか?」と言ってくれるような人々だ。独裁者はこういう素朴な人々を自己の利益だけのために食い物にしているわけだ。

世の独裁者に言いたい。他者の犠牲の上に自己の幸福を築くなかれ。

<赤道ギニアの極道息子のニュース>
http://jp.autoblog.com/2013/07/21/supercars-seized-from-african-dictators-son-obiang-sold/
<ジンバブエの大統領選挙強行のニュース>
http://mainichi.jp/select/news/20130726k0000m030045000c.html

2013年7月24日水曜日

野球部の5回戦を応援に行く

大阪空港に近いT・R野球場 9回表
本校野球部の5回戦を応援に行ってきた。部長のF先生によると、夏の大会では本校は、これまでベスト16止まりらしい。大きな壁である。対戦相手はK大H高校。私の同学年の阪神の岡田(掛布・バースと共にクリーンナップを打っていて監督にもなった岡田だ。)の母校である。私が高校1年の時、TVで甲子園に出ているライトの1年生・岡田を見た。一年で出ていることに驚き名前を覚えていた。その後早稲田に進み、阪神に入った。私は熱心な阪神ファンではないが、顔は藤山寛美の岡田だけは別であった。その古豪・H高校である。

朝の雨もあがり、曇天の中、試合は始まった。H高校は背番号9が投げていた。つまりエース温存というわけである。明日は連戦で6回戦の試合がある。連投を避けようというわけだ。本校はそんな余裕はない。2年生エースの先発である。試合は、ジリジリと相手校の実力を見せつけられるような感じで進んだ。1番や4番の選手など無茶苦茶バッティングが良い。本校の守備の良さで最少得点に押さえていくものの、小刻みに得点を許していく。本校は、敵失で1点を返したのみ。結局1対6と、5点差で9回表を迎えたのだった。

ところが、本校野球部は、ふんばったのだ。ついにエースを引きづり出した。ヒット、ファーボールや振り逃げを含めて、満塁にして加点していく。結局3点を返して、力尽きたのだった。今朝見た秋田商業高校のねばりではないが、本校野球部も十分あきらめの悪いチームだったわけだ。結局4対6で、夏の大会・悲願のベスト8は逃したものの、私は教え子たちのふんばりを誇りに思う。一方グランドの選手を、凄いパワーで応援していた野球部員たちの全員野球のふんばりも大きかったと思うのだ。
9回表は3回も得点を喜ぶパフォーマンスが繰り返された
結局、WEBの速報を見ると、公立で残ったのは唯一、あの大阪市立桜宮高校のみである。某市長に「大阪の恥」とまで罵倒され、地域でもコテンパンに差別された桜宮高校が、全OB・OG、現役生の誇りを力に変えて頑張っているのだ。凄いではないか。同じ体育科がある兄弟校の本校の悔しさも力に変えて、頑張って欲しいと願うものである。

追記:大阪市立桜宮高校は残念ながら、準々決勝で9回に1点を入れられ最少得点差で私学・K高校にに惜敗した。しかしながら、最後の最後まで頑張った。本当にあっぱれである。

祝 秋田商業高校 連続出場

昨夏の秋田商業高校 一回戦突破で校歌斉唱
ついさきほど、NHKのニュースで秋田商業高校が2年連続甲子園出場を決めたことを知った。今年もまた、甲子園に応援に行くことになった。いやあ、めでたい。O監督、オメデトウ。ニュース映像では延長戦で粘り強く戦い抜いたようだ。やはり執念というか、あきらめの悪い者が勝つ。本校野球部は、今日ベスト8をかけた5回戦である。大いなる教訓を得たと思う。
…と、雨音がする。今日の試合は10時からである。大丈夫かなあ。