
ケニアで実施された新憲法制定の是非を問う国民投票で、同国選管は5日、賛成が過半数に達したことを受け、新憲法案の承認を宣言した。ケニアは07年末の大統領選で部族間対立を生み、1000人以上が犠牲になった暴動以降、国際社会から安定化を切望されており、民主化促進に向けたステップとなりそうだ。 英植民地支配からの独立後の63年12月に公布された現行憲法は、繰り返しの改正の末に大統領の権限が拡大、批判が相次いでいた。新憲法は、国会を2院制に改編し、大統領権限への監査機能を導入。地方分権の強化や市民権の拡大が盛り込まれている。 選管によると、国民投票は5日夜時点で賛成約67%、反対約30%で、「承認要件を満たした」とした。有権者は約1240万人、投票率は約71%だった。
新憲法承認を受け、キバキ大統領は「新憲法は新たな発展につながる。国民が団結して新たな国家づくりを始めよう」と演説した。 新憲法制定への国民投票実施は08年2月、安定化に向けて旧与野党間で交わされた連立政権の合意事項に盛り込まれていた。 <画像は大統領選の時の画像だと思われる。>
アフリカの開発経済学をかじっていて、いつも最終的に落ち着くのは、ガバナンスの悪さである。私が初めて足を踏み入れたアフリカであるケニアは、ブルキナやジンバブエから見ると、はるかにHDIが高く、インフラの整備が進んでいるわけだが、前回の大統領選では、見事にポール・コリアーの『デモクレイジー』(1月28日付ブログ参照)を実現させた。今回の憲法改正は、その後始末だといっていい。
私の会ったケニアの人々は、素朴で従順な人々が多かった。あの混乱の中からケニアが再生することを心から願うとともに、西部や北部の乾燥地帯の干ばつに早く手をうってほしいものだ。
ところで、ガバナンスの悪さはなにもアフリカだけのことではない。最近の日本を見ていると、自分の足元に火がついているような気になるのである。