2021年7月5日月曜日

秘伝 教材研究(倫理編)Ⅱ

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私の倫理は、西洋哲学を最も基軸に置いている。その根っこにあたるのが、ギリシア哲学(ヘレニズム)であり、もう一つはユダヤ教・キリスト教(ヘブライズム)である。ヘブライズムのロゴス、合理的な精神と、ヘブライズムの唯一絶対の創造神の存在を抜きに西洋哲学は語れない。次にヘブライズムについて記しておきたい。

若かりし頃から、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の三宗教について興味を抱いて学んできた。これら三宗教の神はそれぞれ名称が違うが、基本的に固有名詞ではなく一般名詞であり、全く同一の神である。一神教がメジャーな海外では常識だが、日本人はこの事実をあまり知らない。私は教え子たちに当初からこの事実を説いてきた。ちなみに、イスラム教の側から教えると意外にわかりやすいと私は考えている。

三宗教の最大の共通点は、同じ神を信仰していることだが、(キリスト教で言う)旧約聖書の創世記や出エジプト記などは、ほぼ同じ土台である。創造神としての天地創造の記述、エデンの園と堕罪(ただしイスラム教では原罪思想はないが…。)、ノアの箱舟における終末観などは、極めて重要な理解のポイントである。

また、預言者の存在も共通している。イスラム教では数は絞られるが、アダム、ノア、アブラハム、イサク、ヤコブ、モーセ、ダヴィデ、ソロモン、ヨハネ、イエスも預言者として認められている。(ムハンマドは当然であるが…。)この中で、最も私が重視するのは、アブラハムとイサクの生贄の逸話である。ユダヤ教の神殿がこの地に建てられ、イエスが父の家と呼んだ場所であり、ムハンマドがここから昇天したと言われている現在の岩のドームの話をしておくことが、倫理だけでなく、中東問題をはじめ、国際関係でも重要であるからだ。

相違点は多い。特に律法をめぐる視点である。ユダヤ教の律法は膨大であり、しかもその注釈書・タルムードを論議するという伝統が重要である。イスラム教では、クルアーンとハディースを中心としたシャリーアの法体系があるが、ユダヤ教に比べ簡潔で、しかもフィクフという段階的な構造があるので、個人的に臨機応変な対応も可能になっている。キリスト教は、律法の成就で、事実上守れないものとして否定している。故に、ユダヤ教・イスラム教にはそれぞれ食事規定があるが、キリスト教にはないわけだ。もっと言うと、ユダヤ教・イスラム教は神定法であるが、キリスト教にはそれがない。よって、神の設計図を求めて。近代哲学・近代科学が発達したともいえる。こういうメタな視点を高校生にも持って欲しいと私は考えている。

もちろん、文化的な側面からの相違も多く、興味深い所であるが、この辺は割愛したとして、生徒の興味を引く話題として、欧米の人々の名前は聖書にまつわるものが多いことが挙げられる。イエスに洗礼をしたヨハネは英語ではジョンあり、露語ではイワンになり、ドイツ語ではハンス、仏語ではジャンとなる。イエスの一番弟子ペテロは、英語ではピーター、露語ではピョートル、独語ではペーター、仏語ではピエール、伊語ではピエトロ(サン=ピエトロ寺院のピエトロ)となる。贖罪を説いたパウロは、英語ではポール、仏語ではポーラ、西語ではパブロになる。こういう異文化理解は、生徒の興味を大いに引く。有名人の名を連想させて一神教をぐっと近くにひきつけることが出来るのだ。ちなみに、福音は英語ではゴスペル、希語では、エヴァンゲリオンになる。この話もいつも盛り上がる。

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