2014年8月27日水曜日

毎日 ミンダナオの平和貢献

27日の毎日新聞朝刊10面の”記者の目”を興味深く読んだ。広島支局の吉村周平記者の『「平和国家」前面に出せ』というタイトルで、フィリピンのミンダナオ島への日本の国際貢献について書かれたものだ。

6月下旬、広島で40年以上続いていたミンダナオ紛争の和平協議が行われた。WWⅡ後、ミンダナオ島げ比政府がキリスト教徒を入植させたことに、イスラム教徒が反発、60年代には分離独立運動が起こり、十数万もの死者を出した。今回和平合意に至った比政府と主要武装勢力の「モロイスラム解放戦線(MILF)」の交渉は、隣国のイスラム国マレーシアが2001年から主導。日本は、比政府とMILFの双方から国際停戦監視団(ITM)への参加を要請され、2006年IMTの社会経済開発部門に専門家を派遣した。さらに、同年日比国交正常化50周年の目玉として開発の遅れている紛争地域への集中的支援策を打ち出し、小中学校や給水施設の建設、人材育成分野など約150億円を投入した。2008年、比政府とMILFの紛争が激化し、ITMが活動停止に追い込まれた時も、日本は緒方貞子JICA理事長の強い意向で支援は継続された。

JICAの地元の生の声をすくい上げ、粘り強く続けられた支援活動は紛争地域の人々に生活の質の向上を実感させた。「平和の配当」と呼ばれるこうした恩恵を享受した人々は和平交渉を支持。和平ムードの醸成に成功し、停滞時も和平への期待をつないだ。

2009年、和平交渉が再開すると両者は信頼する日本にオブザーバー参加を求めた。特にMILFの強い希望だったという。11年にはアキノ比大統領とムラドMILF議長の会談が日本で実現し、交渉は大きく進展した。今年3月の包括的和平合意へと結びついた。6月の協議は2006年から続く「ミンダナオ平和構築セミナー」と銘打ったJICAとマレーシア科学大学が主催したもの。2016年発足を目指す自治政府の制度、地域の治安回復や開発への課題を実務者レベルで話し合い、大統領・議長も顔をそろえて合意の確実な履行に意欲を示したという。

広島は、平和構築分野での人材育成や平和に関する国際会議、紛争当事者同士の対話の場の誘致に取り組み、国際平和都市を目指している。5月から6月にはミンダナオの自治政府の職員候補を招き、戦後復興や地方自治実務に関する研修を行った。アキノ大統領は「平和への道が困難を迎えた時は、広島や長崎で起きたことを思い起こすべきだ」と広島開催の意義を強調した。

吉村記者は、主張する。集団的自衛権の行使を巡る議論で、地域や国際社会の安定に貢献する積極的平和主義の必要性が語られたが、日本が目指すべきは、唯一の被爆国であり、武力行使が制限された日本だからこそ、独自に培ってきた「平和国家」としての国際貢献ではないのか。

…このミンダナオの和平と日本の国際貢献の話、もっともっと語られていいのではないか。緒方貞子元JICA理事長はやはり凄い人だと思う。

…今、広島は、土砂災害で大変だ。ならば、イスラエルとガザの和平交渉をナガサキで行ってもいいではないか、などと思ってしまう。

…もっとも、今の政府にとっては、この平和国家的国際貢献の話、かなり都合の悪い話であるのは間違いない。

http://www.jica.go.jp/topics/news/2014/20140627_01.html

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