2013年3月31日日曜日

旧友の家で思ったこと。

高校時代の旧友の家を久しぶりに妻と訪問した。彼は、筑波大学の芸術学群を目指していたのだが失敗し、京都の人間国宝に弟子入りしたという仲間内でも変わりダネである。修行を重ねた後、一般企業に就職したが、能力が高く営業マンとしても、技術屋としても非凡な才能を示したので、金持ちである。(笑)ところが昨年、ひと足早くリタイアした。今は、人間国宝の元で修行した螺鈿(らでん:貝の細工と漆でつくる木工工芸品)をひたすら楽しんでいる。悠々自適といったところなのだ。

彼は多趣味で、しかも凝り性である。登山にはまっていたころは外国へも遠征したし、鉄道模型にいたっては莫大な金をかけている。今もジオラマは残っていて、埃をかぶっていながらもちゃんと動くのであった。うーん。鉄道模型はやはり趣味の王様である。物凄い手間がかかっている。

彼の螺鈿は、アマチュアの域をはるかに超えている。昔とった杵柄とはいえ、プロの技である。やはり、これがやりたかったのだと、人生を取り戻す勢いである。もちろん、彼の人生は順風であったわけではない。私にははっきり言わないが、それなりに悩みもかかえているらしい。

55年も生きていると、様々な人生に接する。高校時代からすると想像できなかったいろんな「今」がそこにある。まあ、先が読めないから人生は面白いのだと思うのだが…。

2013年3月30日土曜日

モザンビークの護民官

大阪梅田の関学・梅田キャンパスで行われた東京外大の舩田クラーセンさやか先生の討論会に参加してきた。タイトルは「日本の援助はいまアフリカで何をしているのか?プロサバンナ事業から考えるODA」である。舩田先生のブログ(アフリカ教育関連情報:リンク参照)はいつも拝見しているので、どんな方か実際にお会いするのを楽しみにしていた。予想を上回るパワフルで明晰な方だった。パワーポイントを使い解説していただいたが、実にわかりやすい。講演会ではないので、参加者とのやりとりを随所に入れながら、モザンビークで行われようとしているプロサバンナ事業について詳しく教えていただいた。その内容はかなりレベルが高かったが、ありがたいことに私にも十分理解が出来た。

モザンビークのプロサバンナ事業とは、日本がJICAの国際協力でブラジルのセラードで成功した農業開発を、よく似た地域であるモザンビーク北部でも行おうとする南南(途上国が途上国に協力する)プロジェクトである。

舩田先生のスタンスは、研究者として、そして声を上げられない人々の立場に立つ市民運動家の二つ。今回のモザンビークの事業については、先生は、まず研究者として学術的に分析されたうえで、次に事業反対の行動(NGOの代表として、日本・ブラジル・モザンビークの市民ネットワークをつくり、情報を共有しつつ、各国政府の議員や官僚、関係者に働きかける)に出ておられることを知った。舩田先生は、批判のための批判をするような方ではないのだ。学術的にこの事業の推移について詳細な調査(議事録・プレスリリース・インタヴュー・現地調査)をされている。そこで導かれた結論というのは、ものすごく簡潔に述べると以下のようなものである。

ブラジルでJICAが農業開発した「不毛の地」セラードと、モザンビークの北部は、共に森林サバンナであるが、モザンビーク北部は、小農が中心の、人口が多い(すなわち農業生産が盛んな)、豊かな土地なのである。彼らは、これまでにも綿花のプランテーション化を、種を煮るという手段で、2年間不作にしてまで頑張り、自分たちの土地を守った歴史をもっている。要するに、このような農業開発は、彼らにとって全く必要ないのである。

実は、今世界的に、土地や水の新たな争奪戦が起こっている。アフリカにも、土地を買収する動きが起こっている。このプロジェクトはその大きな流れの中にある。また、すでにそういう事実がわかっていながら、ブラジルがこのプロジェクトを進める理由、日本政府が進める理由についても詳細に語っていただいた。

舩田先生は、そもそもブラジルに留学されておられ、日系移民について研究されていた。しかもその留学の地が、セラードの地であり、現在の研究の対象であるモザンビーク(同じポルトガル語圏)だということで、今回のプロジェクトに疑問を抱かれたのだという。
舩田先生は、何度も「アドボカシー(Advocacy)」という言葉を使われた。ローマの護民官の名称から、「権利を巡る調整の活動」を意味するらしい。舩田先生は、モザンビークの護民官たらんと戦っておられるのだった。最終的には現地の人々の判断にゆだねるとのこと。大いに納得した次第。

ところで、この討論会、今まで参加した京大の公開講座や公開講演会、NGOの講演会とは全く雰囲気が違った。(反権力の)市民団体の研究会という感じだったのだ。私は、舩田先生の主張は正しいと思うし、批判のための批判ではない、行動力も素晴らしいと思う。だが、公立高校の社会科教師としては、これをストレートに生徒に伝えることには少なからず抵抗がある。様々な立場、見解をできるだけ正確に伝え、考えさせたい。そう思うのだ。今日、同席した旧知の(8校合同仮想世界ゲームに参加いただいた)府立高校のK先生ともそんな話をしていたのだった。今、検討中のアクティビティでも、最後の最後に、開発の影に潜むこういう問題について語ろうかと思う次第。なお、今回の舩田先生のパワーポイントの内容は全て公開されている。(この事実も凄い。)興味のある方は是非。
http://afriqclass.exblog.jp/17362546

舩田先生、貴重なお話ありがとうございました。「共感は国境を越える。」という言葉は胸に突き刺さりました。また関係の皆さま、ありがとうございました。大いに勉強になりました。

2013年3月29日金曜日

佐々敦行の新刊文庫本を読む。

年度末である。16:30から今日でご退職になる事務長の離任式が行われた。会議室で職員への挨拶の後、正門前で野球部やバスケットボール部などの生徒たちが参集して、校歌とエールで事務長を送りだしてくれた。体育科への風当たりがきつい昨今だが、今時こんな熱い離任式ができる公立高校が全国にいくつあるのだろうか。本校の桜は、ほぼ満開。花曇りなのが残念だが、懸命に本校に尽くしていただいた事務長にふさわしい門出であったと思う。42年間、本当にご苦労様でした。

さて、今日の本題である。佐々敦行の『日本赤軍とのわが「七年戦争」』(文春文庫/本年3月10日第1刷)を読み終えた。佐々氏の著作はほとんど文庫本だが読んでいる。国家的危機管理について書かれたものが多いが、教育現場でも役に立つ。こういうノンフィクション系の本を読むということは、著者の貴重な経験の追体験的な行為でもある。この本は、よど号ハイジャックから始まる日本赤軍の話である。いくつか面白い逸話が書かれていたので紹介しておきたい。

よど号事件の際、犯人が長い機内でアジ演説をした。あの「われわれわぁ~」というやつであろう。この中で「ハイジャック」という語が使われたらしい。終わりに「何か質問は?」と言ったところ、「ハイジャックって何ですか?何語でスペルは?」という声があがり、犯人は答えに窮したそうだ。すると、聖路加国際病院の理事長が「君たちは学生だろ?ハイジャックをやるなら、その意味やスペルぐらい勉強しておきなさい。それは英語で昔英国で起きた馬車を狙った路上強盗のことだよ。スペルは、H、I、J、A、C、K」と講義したのである。犯人は「どうもすみません。」と答えたそうだ。…いい話だと思う。まさに硬骨漢。

このテルアビブ空港乱射事件の時、犯人は自爆するのだが、その方法が凄い。顎に手榴弾を両手であてがうのだ。顔、指紋を同時に判別不可能にするためのものらしい。もちろん考案したのは日本赤軍ではなく、パレスチナゲリラであるという。なんとも凄まじい。なおこの時の日本大使は都倉さんという人で、その息子が都倉俊一。ピンクレディーなどの曲で有名な作曲家だ。彼もイスラエル出国の時、日本人だという理由で厳しい身体検査をされ、パンツまで脱がされたという。
…私も妻も昨年のイスラエル出入国では、そういう歴史があるのでずいぶん緊張したのだった。今の若い人は知らないと思うけど。

1988年、G7のトロントサミットで、サッチャー英首相が、ハイジャック対策で「ノン・コンセッション決議」(テロリストと交渉しない、絶対に妥協しない、獄中の犯人釈放と身代金支払いに応じない)に続いて、「ノン・テイク・オフ」決議を提案する。サミット国の主権の範囲内で起こったハイジャックは、ハイジャック機を飛び立たせて他国に問題解決をたらい回ししないこと、自国政府の責任において解決し、他の国に累を及ぼさないことという内容である。日本の三木・福田政権の一連の弱腰に対して批判であった。これに賛成したのは米国、英国、カナダ。反対はフランス、西独、イタリア。真っ二つに意見が割れた。当時の総理は竹下登。佐々氏はご下問を受け、次のように答えた。

「サッチャーに賛成すべきです。長年ハイジャックを担当してきた私としては、総理にキャスチングボートを行使して『ノン・テイク・オフ』を国際公約としていただきたい。クアラルンプール、ダッカの恥を雪ぐべき時です。歴史的に見ても、日本はアングロサクソンと組んだ時栄え、独・伊と組んだ時亡びました。」…竹下首相は一笑し、後に賛成票を投じた。

私も、このアングロサクソン云々は、佐々氏の歴史に残る名言(迷言?)だと思う。(笑)

2013年3月28日木曜日

BRICSの開発銀行とコンゴPKO

ここ数日、アフリカにとって大きな影響を与えるニュースが二つ報道されている。ひとつは、ダーバンで行われたBRICS(Sは複数形ではなく、南アを示している。)のサミットで、とにもかくにも開発銀行設立という話だ。世銀やIMFが先進国の意向を反映していることに対し、BRICSが独自に開発銀行を設立し、アフリカやアジアに融資していこうというものである。今朝の日経には、そのことが詳しく書かれていた。

BRICSは、このところ経済成長に陰りが見え始めていて、以前のような元気がない。たとえば中国は、大量の安価な労働力が売りだったが、このところ賃金面で他の途上国との格差が出始めている。内需への転換が必要らしい。ロシアは、天然ガスなどの第一次産品が好調なわりに、国内産業の成長が進んでいない。インドは海外投資が減少し、成長に急ブレーキがかかっているらしい。ブラジルと南アはまずまずだが、およそ以前の高成長率状態ではないのだ。で、とにかく設立はするよ~という宣言で終わったらしい。
とはいえ、BRICSが開発銀行を設立することは確かなようで、これまでの開発資金=世銀・IMFという体制を、根本から揺るがすことはまちがいがない。

もうひとつは、コンゴのPKOに戦闘部隊を組み込むことが、国連の安保理で決議されるらしいということだ。PKOは、ソマリアでの失敗以来、その名称どおり、基本的に市民や人道支援関係者の保護などが主目的で、治安維持部隊であるといってよい。コンゴの場合、それでは全く解決しないということなのだ。それは確かにそうなのだが、国連は積極的に反政府勢力に対し、「平和の強制執行」を行うというのである。美句ではるが、要するに反政府勢力に攻撃を加え内戦を終結させるというのである。現在のところ、南アやタンザニア軍、3000人がその任にあたるらしい。AUなどアフリカ諸国の連合軍も考慮されたらしいが、資金や装備不足で流れたという。AUのアフリカの紛争はアフリカの手でという原則も、なかなか現実的には難しいわけだ。

この国連PKO攻撃部隊組み込みには、フランスが最も積極的なのだという。現在、フランスはマリで反政府勢力と戦っているが、1カ月半で1億ユーロの戦費を使ったらしい。フランス国内からは、失業対策などもっと重要なことがあるだろうという批判が噴出している。さらに先日追い打ちをかけるように、中央アフリカ共和国でもクーデターが起こった。旧植民地であるこの地でも最近ウランやダイヤモンド鉱山などが開発され、フランス人が多く在留している。彼らと空港などを守るため550人のフランス軍を急きょ派遣したところだ。フランスとしては、これらを国連のPKOに任せ、国内の批判をかわしたいというのが本音で、コンゴのPKOの件を積極的に進めるのはまさに国益である。中国とロシアの動きは定かではないが拒否権発動はない模様。イギリスもフランスほど積極的ではないが賛成。明日は我が身という国益か。あまりに乗り気でないのがアメリカなのだという。理由は2つだと私は思う。ひとつはソマリアでの苦い経験。もう一つは、国連の拠出金の問題だ。アメリカは最も多くの拠出金を出している。分担率は22%である。PKOの戦費は直接アメリカに跳ね返るわけだ。

ちなみに、国連拠出金の分担率は、第二位は日本。10.833%。第三位はドイツ。7.141%。この話、日本は決して無関心であってはいけないのではないかと思うのだが…。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2706C_X20C13A3FF1000/
http://mainichi.jp/select/news/m20130328k0000e030237000c.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jp_un/yosan.html

2013年3月27日水曜日

日経 独紙のキプロス分析

キプロスの金融危機が問題になっているが、このキプロスというのは、キプロス島南部のギリシア系(公用語がギリシア語で、正教会の信者が多い。)を一般にさし(国連加盟国のほとんどが承認)、北部はトルコだけが承認している別の国(トルコ系・トルコ語でイスラム教スンニー派の信者が多い。)だということは日本ではあまり知られていないのではないかと思う。最近の地理教育では、ますますそういう重要な事実を学ばない。中学でも薄っぺらな、それも限定された地誌しか教えないらしいし、高校では文系で地理を選択する生徒が減少している。地理の教師としては寂しいかぎりである。今日の日経に、ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ紙の「混迷するキプロス-大国、資源や基地を奪い合い-」を翻訳・転載している記事があった。これがなかなか面白かったのだ。

この記事は、ヨーロッパ人にとっては当然の上記のような常識の上で書かれている。要するに、キプロス(南キプロス)の敵は、トルコなのである。そもそもギリシアとトルコは今も極めて仲が悪い。で、敵の敵は味方である。歴史的に見てもトルコには、もう一つの敵がいる。ロシアである。トルコは今もカフカス地方に影響力を持っており、ロシアは常に牽制しているのだ。ロシアも正教会であり、同じ正教会のキプロスを重要視することで睨みを南からもきかせているわけだ。ロシアのマネーがキプロスに流入していたのは決して偶然ではないのだ。

一方、キプロスは旧イギリス植民地であり、不沈空母としてイギリスは基地を有している。イラク戦争時には、ここから出撃した。ロシアは、今内戦で揺れているシリアに基地を持っているが、さすがにキプロスに基地を持つことはEUが許さないだろう。ちなみに、キプロスは、EUには加盟しているが、NATOには参加していない。もっと言うと、トルコはNATOに参加しているが、EUには入れてもらえていない。きな臭い中東情勢を鑑みる時、キプロスは地政学的にも極めて重要な島なのだ。

ところで、キプロスでも天然ガスが開発され有望視されている。この天然ガスを液化するプラントで投資するのが期待されているのはイスラエルだという。うーん。イスラエルまで絡んでいるのか。

こういう複雑な状況がキプロスにはあるわけだ。今日は、なんだか池上彰みたいなエントリーになってしまった。(笑)

2013年3月25日月曜日

習主席への祝電とナミビア

私は昔、前任校の時、読売新聞に授業の取材を受けたことがある。「教育ルネサンス」というコラムである。ちょうどブルキナファソに行っている間に掲載された。ケニア人生双六や識字などアフリカの教育問題をアクティビティと討議で行う地理Aの授業だった。

ちょっと恩義のある読売新聞なのだが、私は読売新聞はあまり読まない。最大の理由は私がアンチ巨人だからだ。(笑)その読売新聞、先日、京大近くのパキスタンカレーの店で久しぶりに読む機会があった。

面白かったのは、習主席の就任への祝電の話題だった。中国という国は、こういう時、ずらずらーと各国からの祝電を示すのだが、これまでなら一番先に北朝鮮からの祝電とするはずが、今回は3番目だったという。
…全くどうでもいいような話だが、かなり中国は北朝鮮の核実験に怒っているというパフォーマンスだといえるかもしれない。ちょっと調べて見た。人民日報(WEBの日本語版)に詳しく載っていた。発表された国名を順に記すと次のようになる。(同じ国がある場合のみ、その差しだし人を示した。)

パキスタン、ナミビア、北朝鮮(金正恩)、ベトナム、ラオス、スペイン、日本(天皇陛下)、韓国、バングラディシュ、シンガポール(大統領)、ザンビア、ニジェール、コロンビア、キプロス、ハンガリー、ウクライナ、北朝鮮(金永南)、シンガポール(首相)、日本(安倍首相)…。

読売新聞には、「なんと北朝鮮はナミビアの後で3番目だった。」と書いていた。私にとって問題なのは何故ナミビアが2番目なのかという事だ。実に不思議だ。中国は、多くのアフリカ諸国に投資しているし、資源も開発している。たとえば南アやアンゴラ、スーダンあたりが、2番目ならわかりやすい。…何故ナミビアなのだろう?どなたか明確な理由を教えていただければ幸いである。

一方、習主席はアフリカ歴訪中である。最初の訪問国はタンザニアだという。今日には南アに入り、29日からはコンゴ共和国(首都がブラザビルの元フランス領の方のコンゴである。)に向かうという。中国はアフリカのどの国を最も重要視しているのか?うーん。よくわからないところがある。それもまた中国のしたたかな外交戦略かもしれない。アフリカを考える上での中国の動き、全く目が離せないと思う次第。

http://j.people.com.cn/94474/8169093.html
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2501U_V20C13A3EB1000/

2013年3月24日日曜日

再び 全国高校薙刀選抜大会

「いいとこです!」 I君の3回戦
さて、再び全国高校薙刀選抜大会観戦録である。I君からの連絡では11:30開始だという。30分ほど前に着いた。ちょうど女子個人戦のトーナメントが最高潮に達している頃だった。応援が凄い。惜しい時、「いいとこ!「いいとこです!」と声がかかる。3人いる審判は、そういう声には全然動かされないが、素人目には、判定の時には影響がある様な気がする。

さて、いよいよ男子の個人戦開始である。3回戦。I君は二試合目に登場した。初めて見た彼の戦いだったが、えらく俊敏ではないか。中学の時に全国2位になった実力があると聞いていたが、かなり強い。終始攻めていたのだが、延長でも両者一本が出ず、判定になった。おお。3対0で優勢勝ちになった。やったっー。

続いて4回戦。相手は京都代表のK君である。本校の1年生の女子生徒が「K先輩」と呼んでいたので、繋がりがあるらしい。「I君はK先輩に勝ったこともあるんですよ。」と言っていた。その言通り、押している。「いいとこです!」連発である。勝てる…。ところがK君の小手が外れかけていたりして、中断した。I君のなぎなたも折れたらしい。この「間」がどう影響するか…?私の不安が見事に的中した。メンを見事に決められたのだ。続けざまにもう一本。あちゃー。優勢に試合を進めていたと言うのに…。誠に残念である。K君は、その後決勝戦に進出、見事優勝した。

I君は、優勝者に負け結局ベスト8で終わったのだった。だが、ベスト8の選手のほとんどが新3年生である。背負っているものが違う。そう、男子は、公式の全国大会はこの選抜大会のみだから、「K先輩」にとっては最後の大会なのだ。I君にはまだ来年がある。これから1年間、鍛えに鍛えて欲しいものだ。全国優勝は決して夢ではない。